GitOpsツール紹介
ソフトウェアエンジニアリングがめまぐるしく進化するなかで、安定的かつ拡張性のあるツールを使うことは非常に大切です。そこで注目されるのがGitOpsツールの実力です。Weaveworksが提唱した「GitOps」という言葉は、クラウド上で動くアプリを継続的デプロイする際の手順を指します。インフラやアプリを宣言的に定義し、Gitを唯一の信頼できる情報源として扱い、Argo CDやFluxなどのツールを使ってデプロイやロールバックを調整するのが特徴です。
GitOpsとは
GitOpsは、従来はIT運用チームが行っていた作業を開発者が担えるようにする運用モデルです。インフラやアプリについてのコードをすべてGitリポジトリで管理し、変更はプルリクエストで行い、バージョン管理によって変更の履歴を残す、というGitならではの強みを活かします。
GitOpsの流れは、まずコードベースを変更すると、CI/CDパイプラインが起動し、そのアプリをビルド・デプロイしてステージング環境で検証します。問題がなければメインブランチに統合され、さらに本番環境へ更新が反映されます。
GitOpsツールの重要性
Argo CDやFluxに代表されるGitOpsツールは、デプロイを自動化・簡略化します。これらのツールは常にGitリポジトリを監視し、リポジトリ側で変更があれば環境を合わせるように更新してくれます。複雑な環境でも効率的にデプロイを管理し、開発者がコードに専念できるよう設計されています。
GitOpsツールを使うメリット
この先では、有名な2つのGitOpsツールであるArgo CDとFluxの実力を深掘りします。誕生の経緯や主な特徴、使い方、システム要件、アーキテクチャなどを順に見ていき、貴社の要件に合ったツールを選ぶために役立つ知識を提供します。
Kubernetes環境を想定して作られたパワフルなGitOpsツールがArgo CDとFluxです。競合というよりは、Kubernetes運用にGitOpsの考え方を広める仲間のような存在です。何が違うのか、どんなアプローチなのか、ざっと見てみましょう。
Argo CDを探る
Argo CDは、GitOps中心の発想から生まれた継続的デプロイを支える仕組みで、Kubernetesの運用を強力にバックアップします。Gitリポジトリをただの格納庫ではなく、「理想とするアプリの状態を一貫して示す場所」として扱うのが特徴です。アプリの設計図や設定を宣言的にGitで管理し、自動化を進めながらGitで行われた変更を容易に反映できるフレームワークを提供します。
Argo CDはKubernetesの世界で「見張り役」のように機能し、デプロイされたアプリが正しく動いているか絶えずチェックします。Gitの定義と差異があれば「Out of Sync」と表示し、自動同期や手動での修正を行うことでアプリを期待通りの状態に戻せます。
Fluxを見極める
Argo CDが常時監視する方式なのに対し、Fluxは「リポジトリ側の設定が正しいかどうかを常に確認しに行く自律型の番人」のような印象です。Kubernetes内にエージェントを置くことでデプロイを起動させ、外部のデプロイ手段を必要としません。
Fluxは実用性、保護手段、柔軟性のバランスを取りつつ、デプロイ管理を行い、定期的な作業を自動化し、ネットワークを監視し、不要リソースの掃除役もこなします。マルチテナントや複数クラスタを扱いやすいので、大規模環境でも有用です。
Fluxの自動同期機能はリポジトリに書かれた内容とクラスタの状態を常に一致させ、新しいコンテナイメージが確認されたら即座に設定を適用する点も特徴です。
Argo CD vs Flux: 簡易比較
Kubernetes向けGitOpsを支えるArgo CDとFluxは、共に優秀ですがアプローチや機能に違いがあります。比較の一例を示します:
属性 | Argo CD | Flux |
---|---|---|
Gitリポジトリとの同期 | ✔️ | ✔️ |
デプロイの自動化 | ✔️ | ✔️ |
マルチクラスタ管理 | ❌ | ✔️ |
ネットワーク対応の管理 | ❌ | ✔️ |
不要リソースの削除 | ❌ | ✔️ |
実際には誕生や発展、主な機能、活用パターン、システム要件、アーキテクチャ、セキュリティ、スケーラビリティ、統合性、パフォーマンス、使いやすさ、事例、コミュニティ支援、今後の展望などをより詳しく見比べる必要があります。そこを詳しく押さえれば、貴社の状況に合うツール選びが可能です。
会計ソフトで有名なIntuitが生み出したのがArgo CDで、Kubernetes環境におけるGitOps型の継続的デプロイを支援します。これは多くのKubernetesクラスターでのロールアウト管理にまつわる課題を解決すべく誕生しました。
Argo CDの背景
Intuitはマイクロサービスへと踏み込んだ際、従来のデプロイ手法の効率や拡張性に限界を感じました。マイクロサービスが多数あるKubernetesクラスターのデプロイ管理をもっと手軽にしたい、という思いからArgo CDが作られ、2018年にオープンソースとして公開されました。Gitを軸にしたデプロイツールを目指し、アプリの基準状態を安定して保つ、という発想が特徴です。
公開後、機能豊富なKubernetesデプロイツールとして注目されるようになり、Kubernetesコミュニティ全体が着目しました。Argo CDは従来のCRDベースでのアプリ定義方法とは異なるアプローチを取り、直接Gitと連動させるコントロールを可能にした点が支持を広げました。
さらに「App of Apps」モデルの登場は画期的でした。1つのメインアプリから多数のサブアプリを包含するという構成ができ、大規模デプロイの管理を容易にします。
Argo CDの今
現在のArgo CDは、世界中の組織で採用される強力かつ多機能なGitOpsツールとして評判を得ています。カナリアデプロイやブルーグリーン、ローリングアップデートなどさまざまな手法に対応し、HelmやJsonnet、Kustomizeとも統合できます。
コミュニティの活気ある開発によって、使いやすいWeb UIや自動削除、自動同期、プライベートリポジトリ連携などが次々と実装され、ますます便利になっています。
Argo CDの影響力
Argo CDはKubernetesのデプロイ管理という概念を大きく変えています。Gitを最終的なデプロイの参照として扱うことで、混乱しがちな運用環境に安定感をもたらし、開発者の効率化や監査性の向上、障害の迅速な復旧に役立っています。
オープンソースという点も大きな意味を持ち、コミュニティという後押しで、最初は特定の課題解決のためだけのツールが、全世界で幅広く使えるソリューションへと成長しました。
このように、Argo CDの誕生からの道のりはGitOpsの世界で先駆的存在であることを物語っています。常に改良が加えられ、活気に満ちたコミュニティに支えられながら、KubernetesにおけるGitOpsの業界標準を築き続けています。
テク系企業Weaveworksが生み出したFluxは、高速かつスクリプト不要でKubernetesを動かせるGitOpsの大切な一部として登場しました。Kubernetes運用におけるデプロイや管理の煩雑さを解消するための強力な切り札となっています。
Fluxの誕生と目的
Fluxは偶然生まれたわけではありません。Kubernetesを使うエンジニアや運用担当者が抱える「遅い」「面倒」「ミスが発生しやすい」などの課題に対する回答として、綿密に設計されました。手作業によるしくじりを大幅に減らし、生産性を上げる自動化ツール、それがFluxです。
2016年に登場したFluxは、あくまでGitOpsという考え方を後押しする形です。クラウド向けアプリを途切れなくデプロイする際の指針として、Gitを宣言的アプリやインフラの「確かな情報源」にする手法を体現しています。
Fluxの進化と多彩化
リリース当初のFlux v1は、Gitに定義された状態とクラスタの状態を同期するオペレーターでしたが、大規模や複雑な利用シーンには不足も指摘されました。
そこで開発陣はFluxをより強力かつ柔軟にするべく再設計し、2020年にFlux v2を発表。モジュール化と拡張性を高めたアーキテクチャが採用され、APIやコントローラーを活用してアプリやインフラを細かく制御できるようになりました。
FluxがGitOpsに与えた影響
Fluxは、その自動化と手軽な導入、信頼性の高さで、開発者や運用担当者から支持を集めています。他のGitOpsツールの設計や実装にも大きな影響を与えており、Argo CDなどにもFlux的アプローチが部分的に取り入れられています。
Fluxの業界評価
FluxのGitOpsへの貢献は業界でも認められ、2020年にはCloud Native Computing Foundation(CNCF)のプロジェクトとして迎え入れられました。このことでさらに開発が促進され、多くの改良が期待できます。
結局のところ、Fluxはシンプルながら堅牢な設計と柔軟性、そしてKubernetes運用をラクにするという強い目的意識によって、大きな注目を集めるGitOpsツールになりました。今後もエンジニアや運用チームのニーズに合わせて進化が続くと考えられます。
GitOpsは便利ですが、Argo CDとFluxを比較するとなると混乱するかもしれません。両者はともに高度かつ効率的なデプロイを実現しますが、特徴的な機能に差があります。以下でそれぞれの主な機能の違いを見てみましょう。
Argo CDとFluxのデプロイ戦略
Argo CDとFluxは、ともにソフトウェアデプロイをスムーズにする戦略を提供しますが、アプローチは大きく異なります。Argo CDは検証を重視しており、ユーザーがアプリの望ましい状態を定義し維持できるように管理します。バックグラウンドで動きながら、定義した理想状態との整合性を確保するのが得意です。KustomizeやHelm、Ksonnet、Jsonnet、そしてプレーンなYAMLなど、多様な形式との連携がスムーズです。
apiVersion: argoproj.io/v1alpha1
kind: Application
metadata:
name: notemaker
namespace: argocd
spec:
project: default
source:
repoURL: 'https://github.com/argoproj/argocd-example-applications.git'
targetRevision: HEAD
path: notemaker
destination:
server: 'https://kubernetes.default.svc'
namespace: notemaker
一方のFluxは、Gitリポジトリを常時ポーリングして変更を発見すると必要に応じてデプロイを実行する「プルモデル」を採用。こちらもKustomizeやHelmに対応しており、Argo CDと似た面もあります。
apiVersion: helm.toolkit.fluxcd.io/v2beta2
kind: HelmRelease
metadata:
name: dataportal
namespace: default
spec:
interval: 1m
chart:
spec:
chart: dataportal
version: ">=5.0.0 <6.0.0"
sourceRef:
kind: HelmRepository
name: dataportal
namespace: flux-system
values:
replicaCount: 2
構成管理のやり方
Argo CDはConfigMapを活用して構成を管理し、シークレット管理機能でデータを安全に扱います。
一方、FluxはCustom Resource Definitions(CRD)で構成を扱い、複雑な環境設定の管理がしやすいのが特徴です。Argo CD同様シークレット管理もありますが、Fluxでは静的シークレットの暗号化にも対応するなど、一歩踏み込んだセキュリティ設定が可能です。
継続的デリバリーへの取り組み
Argo CDは視覚的なUIを備えており、デプロイ状況を見やすく把握できます。問題があったアプリは自動で前の状態に戻す機能もあり、トラブルシューティングが容易です。
Fluxは安定運用を重視し、Gitリポジトリの変更をこまめに取り込んでクラスタを最新の状態に保ちます。自動ロールバック機能も持っていますが、Argo CDのようなグラフィカルな画面はありません。
セキュリティへの取り組み
セキュリティ面では、Argo CDはRBACに対応し、シングルサインオン(SSO)やマルチユーザーをサポートしているので、大企業での権限制御が簡単です。
FluxもRBACを持ち、きめ細かなリソースアクセス制御が可能です。SSOは対応しますが、Argo CDのようなマルチユーザー機能は備えていません。
結論として、Argo CDもFluxもGitOpsに優れた選択肢ですが、どちらを選ぶかは利用者や環境によって変わります。
ここでは、GitOps実践の代表例であるArgo CDの多様な機能をメインにご紹介します。先進技術の要素が詰まっており、Kubernetes上の運用をコントロールする能力に定評があります。
ステップ1: Argo CDの初期セットアップ
まずはArgo CDをKubernetesクラスタに組み込みます。以下のコマンド例を試してください:
kubectl create-namespace argocd
kubectl apply -n argocd -f https://raw.githubusercontent.com/argoproject/argo-cd/stable/manifests/install.yaml
「argocd」という名前空間を作り、Argo CDのいろいろなリソースを適用することで準備が完了します。
Argo CDのAPIサーバーと通信する
Argo CDのAPIサーバーを活用するために、ポートフォワーディングを設定してみてください:
kubectl port-forward svc/argocd-server -n argocd 8080:443
これでポート443へアクセスが、貴社のローカル環境の8080番ポートから行えるようになります。
ユーザーアクセスの安全確保
管理者(admin)アカウントを使い、Argo CDの認証を行います。このとき、Argo CDのAPIサーバーのPod名と照合する方法を取ります。Pod名は以下のように取得できます:
kubectl get pods -n argocd -l app.kubernetes.io/name=argocd-server -o jsonpath="{.items..metadata.name}" | cut -d'/' -f 2
続けて、次のコマンド例でトークンを入手します:
argocd account get-token
Argo CDでアプリを管理する
アプリをArgo CDに登録するには、Gitリポジトリのソースとフォルダパス、適用先の宛先などを定義した「Application」オブジェクトを作成します。
下記は「application.yaml」の例です:
apiVersion: argoproj.io/v1alpha1
kind: Application
metadata:
name: guestbook-demo
namespace: argocd
spec:
project: default
source:
repoURL: https://github.com/argoproject/argo-example-apps.git
targetRevision: HEAD
path: guestbook
destination:
server: https://kubernetes.default.svc
namespace: guestbook-demo
これを下記コマンドで適用すると:
kubectl apply -f application.yaml
Argo CDがGitリポジトリやKubernetesの状態を比較し、自動的にクラスタ側をGitの定義に合わせるよう調整します。
デプロイ状況を確認・操作する
Argo CDにはダッシュボードがあり、localhost:8080 にアクセスすればアプリの状態がわかります。必要に応じて手動で同期したり、ロールバックしたりも可能です。
以上がArgo CDの使い方の要点です。GitOpsを実践しつつ、Kubernetesのアプリ自動化をさらに進めたい現代のDevOpsには欠かせない存在となっています。Gitリポジトリが中核となるため、柔軟な運用が可能です。
FluxはGitOps界で力強い存在感を放ち、Kubernetes上のアプリを自動でデプロイ・監視・管理する手段を提供します。ここではFluxの運用ステップを簡単にまとめます。
導入: Fluxのインストール
手始めに、Flux CLIをローカルにインストールしてKubernetesクラスタへ導入しましょう。以下のコマンドを実行してください:
curl -s https://toolkit.fluxcd.io/install.sh | bash
CLI導入後、次のコマンドでFluxをクラスタにブートストラップできます:
flux bootstrap github --owner=<your-github-username> --repository=<your-repo-name> --branch=main --path=./clusters/my-cluster --personal
Fluxが専用のGitHubリポジトリを作成し、そこをFluxのGit保管庫として設定します。
調整: Fluxの設定
Fluxを導入後は、管理対象とするアプリ設定をFluxに教える必要があります。YAMLの設定ファイルを作り、監視対象のソフトウェアと動作ルールを指定してください。
例として次のようなGitRepository定義を用意します:
apiVersion: source.toolkit.fluxcd.io/v1beta1
kind: GitRepository
metadata:
name: webapp
namespace: flux-system
spec:
interval: 1m
url: git@github.com:<your-github-username>/<your-repo-name>.git
ref:
branch: main
ここではwebappリポジトリを毎分チェックするよう指定しています。
実行: Fluxでアプリをデプロイ
Fluxの準備や設定ができたら、Gitリポジトリにアプリ用のKubernetesマニフェストをコミットするだけです。Fluxがそれを検知し、クラスタに自動反映します。
下記は簡易的なwebappデプロイのマニフェスト例です:
apiVersion: apps/v1
kind: Deployment
metadata:
name: webapp
labels:
app: webapp
spec:
replicas: 3
selector:
matchLabels:
app: webapp
template:
metadata:
labels:
app: webapp
spec:
containers:
- name: webapp
image: my-webapp:1.0.0
ports:
- containerPort: 8080
Fluxはこのマニフェストを監視し、変更があればクラスタを即座に更新します。
維持: Fluxによるアプリ監視
Fluxは常にGitリポジトリを監視しているので、マニフェストが更新されると自動でクラスタの状態を最新に保ちます。
CLIを使ってアップデートを手動起動したり、稼働状況を確認したりすることもできます。例えば次のコマンドで、Flux管理下のアプリ一覧を取得できます:
flux get kustomizations
Fluxが管理するKustomizationの一覧や現状が出力されます。
このようにFluxはKubernetes環境でのアプリ操作を自動化できる総合的かつ柔軟なツールです。インフラ運用よりも開発に集中しやすくなるメリットがあります。
Argo CDとFluxの違いを見ていくとき、Kubernetes対応の度合いや依存関係などシステム要件も注目点です。それぞれが必要とする環境や前提が異なり、特徴が出ています。
Argo CD
Argo CDはKubernetesと強く結びついており、最小でもバージョン1.13以降のKubernetesクラスタが必須です。ただし、なるべく新しいKubernetesを使うほうがスムーズに機能を享受できます。
オンプレでもAWSやGCP、Azureといったクラウド上でも、KubernetesクラスタさえあればArgo CDは柔軟に動きます。リソース要件もクラスタのスケールに合わせて伸縮でき、特定のハードウェア要件はあまりありません。
Argo CDの動作にはGitリポジトリを使うため、GitHubやGitLabなどのホスティングサービス、それにDockerイメージのリポジトリが必要です。
Argo CDに必要な要素:
Flux
Fluxも純粋なKubernetes向けツールで、少なくともKubernetes 1.16以上が望ましいとされています。Argo CDと同じく、クラウドやオンプレを問わず動作可能です。
Kubernetesが動く環境なら概ね問題なく、特別なハードウェア要件はありません。
FluxもGitリポジトリを監視してクラスタを管理します。GitHubやGitLab、さらにはBitBucketなどとも連携できます。
Flux導入に必要な要素:
まとめてみると
Argo CDとFluxは、どちらもKubernetesクラスタとGitリポジトリが前提という点では共通していますが、Fluxが1.16以上を推奨するのに対し、Argo CDは1.13以上とやや低めです。古いKubernetesをどうしても使い続ける場合は、この差が気になるかもしれません。
ハードウェア要件についてはどちらもクラスタに準拠し、アプリ数や更新頻度によってリソース消費が上下します。総合的にはシステム要件で大きな差はありませんが、細かいバージョン要件などは考慮が必要です。
Argo CDはKubernetes上で、GitOpsを活かした運用を実現するための特化型ルーティングシステムです。仕組みとしてはGitリポジトリを参照しながら、Kubernetes上のソフトウェアを監視・管理します。
Argo CDを動かす主なコンポーネント
Argo CDには複数の重要な要素があり、それらが連携して機能を支えています:
同期機能がカギ
Argo CDではApplication Controllerが、Git上の定義とKubernetes上の実際の状態を比べ、差分があれば修正を行い、常に同期を保つ仕組みが基盤になっています。
宣言的アプローチ
すべてを宣言的に定義することで、望むインフラの状態をGitに保存し、いつでも同じ状態を再現しやすくなっています。隠れた変更があれば検知して正しい状態へ戻せるので、信頼性が高いです。
セキュリティとアクセス制限
SSO連携やRBAC(ロールベースアクセス制御)、マルチユーザー管理などの仕組みを備え、不正アクセスや変更を抑制する体制も整えています。
関連ツールとの連携
HelmやKustomize、PrometheusなどKubernetesエコシステムの他ツールとも柔軟に統合できます。複雑なデプロイ形態でも問題なく対応可能です。
このようにArgo CDは、モジュール化されたアーキテクチャに基づき、安定性と柔軟性、そしてGitOps理念を実行する仕組みを兼ね備えています。継続的デリバリーの場面でも有効に機能する点が大きな強みです。
Weaveworksが提供するFluxは、GitOpsの力を活かし、ソフトウェア運用やデリバリーの仕組みを大幅に自動化するツールです。コードとインフラを同じフローで扱える特徴があります。
Fluxアーキテクチャの主要ポイント
Fluxの要は4つの構成要素です。Fluxのデーモン、Gitリポジトリ、Dockerリポジトリ、そしてKubernetesです。中心にあるFluxのデーモンはKubernetesの中で動作し、絶えずGitをウォッチして変更があれば、クラスタに反映させます。
このデーモンはDockerイメージの変更もチェックし、イメージが更新されたらGitリポジトリ情報を更新した上で、クラスタに新しいイメージを投入する動きを取ります。
Gitの強みを最大限に活かす
Gitリポジトリはソフトウェアコードやインフラ設定をまとめて宣言的に記述する場として機能します。開発者がこのリポジトリへ変更をコミットすると、Fluxデーモンが検知してクラスタを合わせこむ仕組みです。
Kubernetesとのつながり
FluxのデーモンはKubernetes APIを利用し、今のクラスタ状態や必要なリソース操作を確認します。コンポーネントの作成・更新・削除といった操作を実行する権限を持っています。
Dockerとの連携
Dockerリポジトリはいわばコンテナの保管所です。FluxのデーモンやHelm Operatorがここから新しいコンテナイメージを取得して、Gitリポジトリに情報を書き込み、クラスタに反映します。
FluxのDocker連携は、コンテナイメージ取得とGitリポジトリへの書き込みまでを安全に行います。
Fluxの同期フロー
Fluxは下記の3段階で同期を実行します:
これらを繰り返すことで、GitOpsの理念に沿って運用環境を常に安定させます。
セキュリティを考慮した設計
Fluxは“必要最低限の権限”で動かすアプローチを採用し、GitリポジトリやKubernetes、Dockerとの連携を安全に扱います。SSHを使ってGitとやりとりでき、KubernetesのRBACも活かしてアクセスを制限できます。
まとめると、FluxはGitOps環境においてデプロイや管理、監視を包括的に進めるための設計がなされています。宣言的な設定を自動でクラスタに反映させつつ、セキュリティ面にも配慮した仕組みが特徴です。
GitOpsではセキュリティ強化が重要なテーマです。ここではArgo CDとFluxそれぞれが採用するセキュリティ戦略を見てみます。貴社に合ったツールを選ぶ上でも、セキュリティ要件を明確にすることが大切です。
Argo CDのセキュリティ特徴
Argo CDには「Role-Based Access Management (RBAM)」という仕組みがあり、ユーザーやチームごとに明確な権限を与えることができます。エンジニアにはアプリのデプロイ権限、管理部門にはユーザー管理権限といった具合です。
さらに「統合ログインシステム(ULI)」としてOpenID Connect(OIDC)と連動し、ログインアカウントを一元管理できます。ユーザーは1つの認証情報で複数のシステムにアクセスできるため、運用効率が上がり、セキュリティも向上します。
また、Kubernetesシークレット・マネージャーを使い、パスワードや鍵などの重要データを暗号化状態で安全に保管・送受信可能にしています。
Argo CDのセキュリティ機能 | 内容 |
---|---|
RBAM | チームやユーザーに応じた権限制御 |
統合ログイン(ULI) | ユーザー管理をシンプルにしてセキュリティ向上 |
Kubernetesシークレット | 重要データを強固に守る仕組み |
Fluxのセキュリティ戦略
FluxもRBAMやOIDCによる統合ログインを導入していますが、シークレット管理の方法に少し違いがあります。
FluxではKubernetesのシークレットをそのまま使うのではなく、「Sealed Vaults」を導入する場合があります。これはシークレットをGitリポジトリに保存するときに暗号化し、復号化できるのは暗号化を施した元のクラスタだけにする仕組みです。
また、FluxはGitリポジトリとの通信にSSHとHTTPSの両方を選べるので、コードのやりとりをより安全に行えます。
Fluxのセキュリティ機能 | 内容 |
---|---|
RBAM | ユーザーやチーム単位で権限を細分化 |
統合ログイン(ULI) | シンプルなユーザー管理・セキュリティ強化 |
Sealed Vaults | Kubernetesのシークレットをさらに確実に守る |
SSH/HTTPS | Gitリポジトリとの安全な通信 |
Argo CDとFluxのセキュリティ能力比較
どちらも強固なセキュリティを備えていますが、Argo CDは標準のKubernetesシークレット運用に慣れている組織に親しみやすいです。一方、FluxのSealed Vaultsはより厳重な保護を求めるケースに有効でしょう。
RBAMと統合ログインについては両者ともサポートしていますが、FluxはSSH/HTTPS対応が充実しているため、Gitリポジトリとの通信面を強化したい企業には好まれるかもしれません。
最終的には、貴社が目指すセキュリティ水準と運用方針によって最適なツールは変わります。いずれにしても、どちらもGitOpsの安全運用に向いた優れた選択肢です。
企業が成長していくにつれて、デプロイ対象が膨らみ複雑さも増します。Argo CDとFluxの拡張性はどうでしょうか。以下では、それぞれのスケーラビリティについて見ていきます。
Argo CD: 拡大を想定した設計
Argo CDは大規模環境を念頭に置き、負荷を捌く機能が強化されています。アプリやクラスタ、リポジトリが増えても対応しやすいのが特徴です。特に鍵を握るのが「Application Controller」で、アプリの理想状態を保障する監視役を担います。
このControllerは独自のinformer機構を使い、リソース変更を効率的に追跡します。必要に応じて複数のControllerインスタンスを立ち上げれば、水平方向への拡張も実現できます。
大量のマニフェストを生成するシチュエーションでAPIサーバーに過剰なリクエストが集中しないよう、同時実行数に制限を設ける工夫もあります。
さらに、複数のアプリをまとめて管理できる「ApplicationSet」機能があり、どのアプリもソースや宛先は同じでパラメータが違うといったケースでもまとめてコントロール可能です。何千ものアプリでも構造的に整理できます。
Flux: 多様なニーズに応える拡張力
Fluxは多チームやマルチクラスタ環境を想定してスケーラブルに作られています。特に企業内で異なるクラスタやプロジェクトが並行するようなケースで威力を発揮します。
GitOps Toolkitという複数のコントローラーやAPIを組み合わせて継続的デリバリーフレームワークを築く仕組みがあり、必要に応じて機能を足す拡張性が特徴です。
KubernetesのHorizontal Pod Autoscalingを使って、FluxのPod数をCPU使用率などに合わせて伸縮できるため、負荷が増えても対応しやすいです。
また、マルチテナント対応により、同じクラスタを使って複数のチームやプロジェクトを安全に切り離せます。
サイズに応じた比較
機能項目 | Argo CD | Flux |
---|---|---|
水平スケーリング | ✔ | ✔ |
マニフェスト生成の同時並行制御 | ✔ | ✘ |
ApplicationSet対応 | ✔ | ✘ |
マルチテナント | ✘ | ✔ |
Horizontal Pod Autoscaling | ✘ | ✔ |
結論として、Argo CDもFluxも大規模化に耐えうる設計ですが、マルチテナントを必要とするか、大量のアプリをまとめて管理したいかなどで得意分野が異なります。貴社の環境に合わせて選ぶと良いでしょう。
GitOpsのツールを導入する際は、既存システムとの統合のしやすさが重要になります。Argo CDとFluxはどのように連携できるのでしょうか。ここでは、それぞれの統合性について見てみます。
Argo CDの統合性
Argo CDはKubernetesとの統合性を強く意識した設計です。CRDを利用してアプリや設定を扱うため、KubernetesのAPIと直接やり取りできます。そのため、Kubernetesを中心とした運用にはかなり相性が良いです。
Helm、Ksonnet、Kustomize、Jsonnetなど、Kubernetesの構成管理の主要な手段に幅広く対応しています。このため、さまざまなデプロイ方法をまとめて扱う現場でも重宝されます。
加えてArgo CDはREST APIとCLIの双方を提供しているため、既存のツールチェーンやプロセスに組み込みやすく、Web UIもあるので各種操作が手軽に行えます。
Fluxの統合性
FluxもKubernetes向けに最適化されており、オペレーターの仕組みを活かしてKubernetes APIを拡張し、オブジェクトをYAMLで管理します。
HelmやKustomizeにも対応しますが、Argo CDと違ってKsonnetやJsonnetへの対応はありません。
CLIが用意されていてコマンドライン操作はしやすいのですが、REST APIやWeb UIは基本的に備わっていないため、外部システムとの連携しやすさはArgo CDより若干劣る面もあります。
統合性比較表
項目 | Argo CD | Flux |
---|---|---|
Kubernetesとの連携 | 可 | 可 |
Helm対応 | あり | あり |
Kustomize対応 | あり | あり |
Ksonnet対応 | あり | なし |
Jsonnet対応 | あり | なし |
REST API | あり | なし |
CLI | あり | あり |
Web UI | あり | なし |
つまり、Argo CDもFluxもKubernetesや主要な構成管理ツールと連携できますが、Argo CDはREST APIとUIが充実しているぶん、より幅広い統合が可能といえます。
GitOpsツール導入の際は、パフォーマンスが開発効率や運用コストに大きく影響します。Argo CDとFluxのパフォーマンス面はどう違うのでしょうか。以下ではそれぞれの相対的優位性を確認します。
パフォーマンス測定指標
まず比較に用いる指標を整理します。次の4つを基準として見てみましょう:
デプロイ速度
どちらもスピーディーに変更を反映しますが、Fluxのほうがほんの少し速いという声があります。軽量な設計と効率的なループにより、デプロイ全体がやや短い時間で完了する場合があるようです。Argo CDは機能面が充実しているぶん、時間がかかる印象です。
リソース使用量
リソース消費量は、Argo CDが多機能な設計のため若干高めです。Fluxはシンプル志向なのでCPUやメモリの使用量を抑えられる傾向があります。
スケーラビリティ
拡張性の点では、Argo CDもFluxも問題なく大規模デプロイに耐えられます。Fluxはミニマルな構造のおかげで大規模環境でも比較的リソースを節約しながら動き、Argo CDもスケーリング手法があるため企業の成長に合った運用が可能です。
応答時間
Fluxはリポジトリの変更を察知するループが効率的で、比較的迅速にクラスタへ変更を適用することが多いようです。Argo CDも十分速いのですが、アーキテクチャが複雑なためわずかに遅れをとる可能性があります。
まとめ
総じて、Fluxは軽量設計ゆえに速度や応答性、リソース使用量の点でやや優位といえます。ただしArgo CDは豊富な機能が強みであり、パフォーマンスのわずかな差を受容するだけのメリットがあります。 結局どちらも高水準のパフォーマンスを発揮するため、最終的な選択はプロジェクト要件への適合度合いで判断すればよいでしょう。
GitOpsツールの実運用では、学習コストや操作性の良し悪しが大きな決め手となります。Argo CDとFluxそれぞれの使いやすさを見極めてみましょう。
Argo CDの使い勝手
Argo CDの特長はやはり直感的なユーザーインターフェース(UI)です。アプリの状態が視覚的に確認できるため、GUIを好むチームに重宝します。健康状態や同期状況がひと目でわかり、操作もしやすいです。
加えてCLIも用意されており、テキストベース操作を好む方へはそちらを利用できます。
チュートリアルやドキュメントも充実しており、不具合時のトラブルシュートの手引きも詳しく解説されています。ただし、KubernetesやGitOpsの仕組みに一定の理解は必要なため、初心者には若干ハードルが高いかもしれません。
Fluxの使い勝手
Fluxはシンプルさが際立ちます。自動同期の仕組みが大きいので、初歩的な操作であっても直感的に使いやすいです。ただしUIは用意されておらず、基本はCLIで操作します。
しかしCLI自体は扱いやすく、同様に豊富なドキュメントとチュートリアルが提供されています。
マニフェストをGitにプッシュするだけでクラスタが更新される自動化の仕組みは、できるだけ手動オペレーションを減らしたい現場には好評です。
比較まとめ
項目 | Argo CD | Flux |
---|---|---|
UI | GUI + CLI | CLIのみ |
学習コスト | やや高い | 中程度 |
ドキュメント | 充実 | 充実 |
自動化 | 手動同期が中心 | 自動同期が中心 |
結論として、Argo CDはGUIを備えており学習コストはやや高め、Fluxは自動化に強みがありCLI主体でシンプルというイメージです。どちらを選ぶかはチームの好みや運用方針に左右されるでしょう。
GitOpsはArgo CDとFluxのおかげで多くの場面で効果を発揮しています。ここでは、2つの事例を通じてそれぞれの優位性を見ていきましょう。
事例1: Intuit社がArgo CDを活用
会計ソフトで有名なIntuit社では、Kubernetesのデプロイを効率よく管理する必要がありました。そこでArgo CDが最適だった理由は、GitOpsに沿った継続的デリバリーモデルがマッチしたためです。
Intuitの開発チームはGitリポジトリで理想のアプリ状態を定義し、Argo CDがKubernetesとの同期をキープ。何かおかしい場合はすぐロールバックも可能で、変更管理が明確になりました。
また、複数のKubernetesクラスタを同時に扱えるのがIntuitの大規模展開にとってメリットとなりました。地域やクラウドが異なるクラスタでも、共通して一貫したデプロイが実現できます。
事例2: Weaveworks社でのFlux運用
Fluxを開発したWeaveworks自身が、そのままKubernetesデプロイにFluxを活用しています。プル形式のデプロイにより、Gitリポジトリへの変更だけで自動的にクラスタが更新され、人的ミスが削減されました。
マルチテナントを想定したFluxは、複数のプロジェクトが混在する状況でも安全に区切りをつけて運用できるため、メンバー同士の衝突を防げます。
事例比較
同じGitOpsツールでも、使われ方やメリットはさまざまです。
比較項目 | IntuitでのArgo CD | WeaveworksでのFlux |
---|---|---|
デプロイモデル | プッシュ型 | プル型 |
マルチクラスタ対応 | 可 | 不可 |
マルチテナント | 不可 | 可 |
単一リファレンス | Gitリポジトリ | Gitリポジトリ |
Argo CDもFluxもプルベースのGitOps思想を基本にしつつ、それぞれで得意分野や機能が異なります。世界的企業が実際に運用している事例から分かるように、グローバルにマルチクラスタを扱うならArgo CD、マルチテナントを重視するならFluxといった選択肢が明確になります。
総じて、どちらもGitOps特有のメリットを大いに享受できます。ニーズに合わせて最適なツールを選択することが鍵です。
オープンソースプロジェクトの発展を担うのはコミュニティです。活発で多様な参加者がいるかどうかが、ソフトウェアの品質や将来性を左右します。ここではArgo CDとFlux、それぞれのコミュニティ活動を比較します。
Argo CDのコミュニティ
Argo CDはArgoプロジェクトの一部としてCNCFの支援を受けており、クラウドネイティブ領域のエキスパートやユーザーを中心に大きなコミュニティを形成しています。
世界中の開発者がGitHubで活発にコントリビュートし、200名以上の参加者が日々issueやプルリクに対応しています。Slackの公式チャネルでは質問や情報交換が絶えず行われており、ドキュメントも定期的に更新され、詳細なガイドが用意されています。
Fluxのコミュニティ
FluxもCNCFのプロジェクトで、こちらも多くの開発者・ユーザーが国際色豊かに参加しています。
GitHubには300名を超えるコントリビューターがおり、issueやPRはスピード感をもって処理されています。公式Slackコミュニティがあり、質問対応やナレッジ共有が活発です。
ドキュメントもわかりやすく整理されており、導入から上級機能まで網羅的にカバーする教材が揃っています。
コミュニティ比較: Argo CD vs Flux
コミュニティサポート | Argo CD | Flux |
---|---|---|
GitHubコントリビューター数 | 200名以上 | 300名以上 |
Slack活動 | 活発 | 同様に活発 |
ドキュメント | 充実し頻繁に更新 | 詳細かつ定期的に更新 |
まとめると、Argo CDもFluxも非常に活発なコミュニティに支えられており、利用者や開発者にとって頼もしい存在です。質問を投げると素早く回答がつくため、運用面で困ったときの援助も受けやすいでしょう。
GitOpsツールを導入するには、多様な要素を検討する必要があります。特にArgo CDとFluxは代表的な選択肢であり、どちらも多くの利点を持っているため、本記事を参考に自社の要件に合った判断をしてください。
複雑なアプリを扱う状況: Argo CDはKustomizeやHelm、Jsonnetなど幅広い構成管理との組み合わせがしやすく、多数の要素を持つアプリでも管理しやすいです。
大規模なマルチクラスタ環境: Argo CDは複数のKubernetesクラスタを一元管理する能力が高く、大企業などの広範なデプロイに向いています。
デプロイ状況を視覚的に把握したい: Argo CDのUIはアプリの状態を把握しやすく、可視化を重視するチームにとって大きな魅力です。
同期の徹底: Argo CDはクラスターの実際の状態とGitの定義をきちんとそろえる機能が特徴的です。運用上の乖離を抑えたい企業に適しています。
自動化をフル活用したい: FluxはGitリポジトリの変更を自動検出し、クラスタを随時更新する仕組みを重視。頻繁に更新が発生する環境で便利です。
イミュータブルなインフラ運用: FluxはクラスタをGitの定義と常に一致させる点で、変更履歴重視のイミュータブル志向に適しています。
Gitの活用をシンプルにしたい: Fluxは外部のデータベースやサービスに依存しない作りで、「Gitファースト」の設計。設定をシンプルに保ちたいチームに向いています。
データを厳重に守りたい: FluxはKubernetesのシークレットをGit管理する際にも暗号化を使うなどデータの扱いがしっかりしています。
まとめると、複雑かつ多彩なデプロイを一元管理したい企業はArgo CD、更新頻度が高く自動化を前面に出した運用を重視するならFluxが向いている傾向です。
GitOpsツールは急速に進化しており、Argo CDもFluxもその中心的存在です。ここでは、そんな両者の今後に着目し、新機能や強化ポイント、将来像を展望します。
Argo CDの今後
Argo CDはすでに高機能ですが、開発コミュニティはさらに以下のような強化を計画中です:
Fluxの今後
Fluxにも興味深い拡張や改良が続々と計画されています:
Argo CDとFluxの将来展望を比較
将来の発展ポイント | Argo CD | Flux |
---|---|---|
セキュリティ | 強化予定 | 強化予定 |
UI刷新 | 予定あり | 予定あり |
他ツールとの連携 | 拡充 | 拡充 |
スケーラビリティ | 注力 | 注力 |
要するに、どちらも今後さらに品質を高め、DevOpsチームの要求に応える形で進化していくでしょう。セキュリティやUI、エコシステム連携、拡張性など、多岐にわたる部分で期待が持てます。
GitOpsツールの中で大きな人気を誇るArgo CDとFluxは、Kubernetesの設定管理において多くのメリットをもたらします。最終的に選ぶかどうかは個社の目的次第です。
Argo CDとFluxの比較総括
Argo CDは直感的な操作と導入のハードルが比較的低めで、初学者にも取り組みやすいというメリットがあります。
一方でFluxはマルチテナントやHelm管理を含む柔軟性に優れ、より複雑なデプロイ条件を設定したいケースで真価を発揮します。
リソース管理と拡張性
どちらも大規模デプロイを問題なく処理できますが、マルチテナントでプロジェクトを分けたい場合はFluxが便利です。Argo CDは大量アプリをひとまとめに扱いやすく、全貌を把握しやすいメリットがあります。
セキュリティや連携面
両者ともRBACやシークレット管理などセキュリティ面はしっかりしており、FluxはSSHキーを使う通信を重視している印象です。連携性に関してはFluxがHelmと幅広く統合しやすい一方、Argo CDはアプリの一括管理や可視化機能が充実しています。
コミュニティと今後
双方ともコミュニティは活発で、CNCFの後押しもあり今後も改良が期待できます。Fluxは幅広いエコシステムを取り込みやすく、Argo CDはUI面や操作性のさらなる向上を図っていく見込みです。
まとめ
Argo CDとFluxは共通点も多いですが、UIの有無や本格的な自動化の重視度などで特徴が異なります。プロジェクトの要件とチーム構成に合った方を導入するのがベストでしょう。
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