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Emissary-ingress vs Kong APIゲートウェイ

APIゲートウェイの導入

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APIポータルは、多様なプログラムをシステム全体のネットワークにつなげる上で欠かせない存在で、従来のオペレーションを再定義しています。デジタルネットワークにおける重要な役割が、見過ごせない重要性を示しています。

デジタル空間に刻まれるAPIポータルの持続的な影響

APIポータルをビジネス戦略の要と見なすと、その真価がより明確になります。複雑な企業戦略を整理するストラテジストのように、APIポータルは複雑なアプリのインターフェースを分かりやすく整理します。これらのポータルはマイクロサービス設計における中核的なコントロール機能を担い、多数のエンドポイント間で連携を調整します。具体的には、複数のマイクロサービス間の通信を取り仕切り、リクエストを誘導し、必要なサービスと連携し、リソースへのオペレーションを振り分けます。

APIポータルの主な任務の包括的な分析

APIポータルは、多彩な役割をまとめ上げています:

  1. 設計図のアーキテクト: APIポータルは、安全なリクエスト経路を綿密に設計し、ターゲットのマイクロサービスへ到達するための多層的なデジタル設計図を作ります。
  2. シールドの役割: APIポータルはデジタルの番人として、ユーザー認証を厳格に実施します。すべてのリクエストがアクセスを得る前に厳重なチェックを受けます。
  3. データフロー管理: APIポータルは膨大なユーザーリクエストをコントロールし、システム過負荷のリスクを緩和するためのクッションとして働きます。
  4. パフォーマンスの向上: APIポータルはキャッシュ機構を利用し、レスポンスを保存することでバックエンドへの負荷を抑えつつ、動作の向上を図ります。
  5. 多方向とのやりとり: APIポータルはさまざまなリクエストを扱い、ユーザー目線の機能をスムーズに動作させます。

マイクロサービスのネットワークにおけるAPIポータルの働き

APIポータルは、マイクロサービスが複雑に入り組むエコシステムの重要な柱として機能し、オブジェクト指向のデザインで用いられる「ファサード」のような位置づけを果たします。システムの複雑さを切り崩し、ユーザーごとに最適化されたAPIを提供します。さらに、ユーザー認証や運用監視、トラフィック制御、レスポンスキャッシュ、リクエストの解析や分類、静的なレスポンスの生成などを担います。

Emissary-Ingress と Kong の比較評価

Emissary-Ingress と Kong はともに高機能なツールで、多くの利点が評価されています。特に Kubernetes ベースのプラットフォームトラフィックを管理するオープンソース機能を有するEmissary-Ingressは Envoy Proxy の枠組みを活用しています。一方、Kong は柔軟性と拡張性に富んだオープンソースのAPIポータル基盤として注目を集めており、RESTful APIを土台に構築されています。さらに、追加のプラグインを導入することで多彩な機能を拡張できる点も特徴です。

この先のセクションでは、Emissary-Ingress と Kong についてより深く掘り下げ、それぞれの利点を詳しく解説していきます。

Emissary-ingressとKongの基本:主要なAPIゲートウェイ

Emissary-ingressやKongといったAPIの仲介役は、マイクロサービス構成が盛んな近年のソフトウェア開発で戦略的に重要な部品と言えます。クライアントからのリクエストを該当するサービスへ向かわせる役割に加えて、ユーザー検証や速度制御、可観測性などの機能も提供します。

Emissary-ingress: 詳細に見る

以前はAmbassadorの名で知られた Emissary-ingress は、Envoy Proxyをベースに作られたオープンソースのAPI仲介役です。Kubernetes環境に特化して設計されているので、コンテナ化やマイクロサービスに取り組む組織にとって大きな魅力があります。

Emissary-ingress が持つ大きな特徴の一つに「宣言型の設定」があります。これは設定内容をコードとして記録し、変更履歴の追跡やリリースの自動化を容易にする考え方です。継続的インテグレーションと継続的デリバリー(CI/CD)を重視するDevOps運用との相性は抜群です。

HTTP/1.1、HTTP/2、gRPCWebSocketなど多様なプロトコルへの対応によって幅広いアプリの要件を満たせるほか、カナリアリリースやブルーグリーンデプロイ、サーキットブレーカーといった高度なトラフィック制御も利用できます。

Kong: 基本を探る

一方、Kongはクラウドネイティブかつプラットフォームに依存しないAPI仲介の形で動作するソリューションです。オンプレミス、クラウド、ハイブリッド構成のいずれにも導入しやすく、Luaスクリプト言語を活用したNginxベースということもあり、高いパフォーマンスと柔軟性を実現しています。

Kongの注目ポイントの1つがプラグインシステムです。プラグインを追加することで、ユーザー検証やログ取得、レート制限、リクエスト変換など、仲介役としての機能を自由に拡張できます。Kong Hubにある200以上のプラグインや独自に作成したプラグインを活用できるので、幅広いニーズに対応可能です。

さらに、Kongはサービスメッシュへの導入にも対応しているため、マイクロサービス間のネットワーク制御をきめ細かく行え、セキュリティと可視化を向上させます。

Emissary-ingressとKongの最初の比較

Emissary-ingressとKongはどちらも優れたAPI仲介役ですが、それぞれに異なる特質があります。以下は概略的な比較表です:

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今後のセクションでは、これらのAPI仲介のアーキテクチャや基盤、主要な相違点を深堀りしつつ、Emissary-ingressとKongのセットアップ手順から、性能、セキュリティ、スケーラビリティ、障害耐性まで詳しく解説します。

APIゲートウェイの構造:Emissary-ingress

旧Ambassadorの名で知られるEmissary-ingressは、APIゲートウェイ分野において有力な存在です。その強みはEnvoy Proxyの巧みな活用に支えられており、Kubernetesとの連携がスムーズなので、大規模なマイクロサービスのネットワーク管理を効率的かつ安定的に実現します。

Emissary-ingressのアーキテクチャ概要

数多くのAPIゲートウェイがある中でも、Emissary-ingressはサイドカーパターンに基づいた構造を採用し、耐障害性を高め、エラー回復力を強化しています。各サービスと独自のEmissary-ingress要素を組み合わせることで、両者は自律動作しつつ全体としての強靱さを向上させます。

Emissary-ingressのアーキテクチャを形成する主要コンポーネントは以下の通りです:

  1. Envoy Proxy: Emissary-ingressの核となる部分です。C++で作りこまれた高性能なプロキシで、すぐれたルーティングや負荷分散、APIゲートウェイ関連のセキュリティ機能をモジュール式に提供します。
  2. コントロールプレーン: Emissary-ingressの中心部であり、Envoy 用の設定を各ゲートウェイに行き渡らせるオーケストレーターのような役割を果たします。
  3. データプレーン: 実際にトラフィックをコントロールする部分です。ここで実行される処理により、負荷の分散やセキュリティルールの適用が行われます。

Emissary-ingressのカスタマイズ

Emissary-ingressはKubernetesのアノテーションを活用し、細かなチューニングを行えるため、管理性とゲートウェイの機能調整も容易です。ゲートウェイ動作の設定はKubernetesのService定義に記載でき、個別の設定ファイルや専用ツールを用いる必要がありません。

以下はKubernetesアノテーションを用いてEmissary-ingressをカスタマイズする例です:

 
apiVersion: v1
kind: Service
metadata:
  name: demo-service
  annotations:
    getambassador.io/config: |
      ---
      apiVersion: ambassador/v1
      kind: Mapping
      name: demo_service_map
      prefix: /demo-service/
      service: demo-service
spec:
  selector:
    app: MyApp
  ports:
  - protocol: TCP
    port: 80
    targetPort: 9087

この設定では、/demo-service/というパスプレフィックスをもつリクエストが、demo-service(ポート9087)にルーティングされるようにマッピングを作っています。

Emissary-ingressの主な利点

Emissary-ingress には、多様なマイクロサービスのトラフィックを制御・分配するうえで強力な機能が備わっています。その一部を挙げると:

  • 動的な設定: システム全体の再起動なしに設定を変更でき、即時かつ継続的なアップデートが可能です。
  • 自動リトライ: リクエストが失敗した場合のリトライ機能が内蔵されており、サービスの信頼性を高めます。
  • レートリミット: 定めた時間枠内でのリクエスト数を制限し、リソースを守る仕組みを提供します。
  • サーキットブレーカー: 不安定なサービスへのトラフィックを一時的に遮断することで、さらに状況を悪化させないようにします。
  • セキュリティ: JWTOAuth2LDAPなど主要なセキュリティプロトコルとの連携を実現します。
  • 可観測性: 基本的なメトリックにとどまらず充実したログ管理が可能で、サービスを能動的に監視できます。

まとめると、Emissary-ingress はKubernetes環境と非常に相性の良い、柔軟かつ高機能でスケーラブルなAPIゲートウェイです。先進的な仕組みと豊富な機能セットにより、マイクロサービスのトラフィックを効率的に扱いたい方に有力な選択肢と言えます。

Kongのインフラストラクチャを深掘り

KongはオープンソースのマイクロサービスやAPIゲートウェイの分野で際立っており、それらを管理・拡張・守るための幅広い機能を提供します。Nginxサーバをベースに開発されているため、高いパフォーマンスと安定性、柔軟性、シンプルなセットアップ、リソース消費の少なさが評価されています。

Kongを構成する主要要素

Kongのエコシステムは、APIを効率的に管理するためのいくつかのパーツで成り立っています。代表的なものとして:

  1. Kongの中核(サーバ): Kongの中枢であり、APIリクエストを処理し、即時に設定されたプラグインを実行します。
  2. Kongが利用するデータベース: KongはPostgresやCassandraなどを使用し、設定内容を保管します。具体的な要件に合わせて選定します。
  3. Kongの管理API(Admin API): Kongの設定はRESTful APIを介して行います。API登録や利用者管理、プラグイン設定などを一元的に扱えます。
  4. Kongのプラグイン群: Kongは多様なプラグインを活用することで追加機能を取り込めます。認証やレートリミット、ロギングなど、多岐にわたるプラグインが用意されています。

Kongの設計

Kongは高いスケーラビリティと分散ワークロードを重視する設計で、以下の2レイヤーに分割された構造を採用しています:

  1. データプレーン(実行層): APIトラフィックをリアルタイムに処理する部分で、Kongサーバとプラグインの実行環境が含まれます。
  2. コントロールプレーン(管理層): Kong Admin APIやデータベースを利用してデータプレーン全体を管理・設定します。

それぞれが独立してスケール可能なため、ビジネスニーズに合わせた拡張が容易です。

Kongが持つプラグインの存在感

Kongのプラグイン部分はとりわけ特徴的で、標準で多くのプラグインが用意されているだけでなく、Luaによる独自プラグインも作成できます。プラグインは優先度に応じて実行順が決まっており、例えば「認証前にレートリミットを適用する」といった細やかな順序制御が可能です。

Kongの高いパフォーマンス

NginxとOpenRestyに裏打ちされたKongは1秒間に何千というリクエストを短い待ち時間で処理できます。さらにキャッシュ機能もあるため、Kong のバックエンドサービスへの負荷を和らげ、パフォーマンスを向上させることができます。

総じて、Kongは頑丈さ、スケーラビリティ、拡張性を兼ね備えたAPIおよびマイクロサービスの総合管理ソリューションです。ビジネスがコアとなる取り組みに注力できるように支援するデザインとなっています。

Emissary-ingress vs Kongの主な違い

APIゲートウェイの分野では、Emissary-ingress と Kongはどちらも有力な選択肢です。どちらも目的は共通ですが、それぞれがもつ特徴の違いがあり、貴社の要件に合ったゲートウェイを選ぶうえで重要になります。

基盤アーキテクチャ

Emissary-ingress と Kongの大きな相違点として、そのコアアーキテクチャの違いが挙げられます。Emissary-ingressは Lyft 社が開発した高速プロキシであるEnvoyを基盤とすることで、高度な負荷分散、サービスディスカバリなどをすぐに実装できます。

一方で Kongは、オープンソースのNginx HTTPサーバとリバースプロキシを土台として構築されており、信頼性の高い基礎を備えます。ただし、高度な機能を追加する場合はプラグインに頼る面もあります。

Attribute Emissary-ingress Kong
基盤 Envoy Nginx

プラグインの仕組み

Kongには豊富なプラグインエコシステムがあります。認証からレートリミット、ログ出力まで、プラグインを活用することで機能を大幅に拡張できるため、多彩なユースケースに適応しやすいです。

対してEmissary-ingressは、Kongのような大規模なプラグインエコシステムは持ちませんが、標準機能が充実しているため、プラグイン管理に煩わされることなく利用できます。ただし拡張性という点ではKongほど自由度はありません。

Attribute Emissary-ingress Kong
プラグインエコシステム なし あり

セットアップとデプロイ

セットアップとデプロイのアプローチも両者で異なります。Emissary-ingressは宣言型のセットアップモデルをとり、大規模な配置においても管理しやすい点が特徴です。

一方、Kongは手動の設定モデルを採用しており、より詳細な制御ができる反面、管理の複雑さは増します。

Attribute Emissary-ingress Kong
設定モデル 宣言型 手動

パフォーマンス

パフォーマンス面では、どちらも優れていますが、EnvoyベースのEmissary-ingressは高負荷時にわずかに優位とされることが多いです。Kongも高いパフォーマンスを示しますが、非常に大きなトラフィックではEmissary-ingressに及ばない局面もあります。

Attribute Emissary-ingress Kong
パフォーマンス 優秀 高い

コミュニティとサポート

最後に、Emissary-ingressとKongはいずれも活発なコミュニティとエンタープライズサポートが存在します。ただし、Kongは規模の大きなコミュニティを持ち、助けを求める際にやや有利です。

Attribute Emissary-ingress Kong
コミュニティとサポート 十分 豊富

このように、Emissary-ingress と Kong は強力なAPIゲートウェイですが、それぞれに特有の強みや弱みがあります。こうした違いを念頭に置いて、自社の要件に最適なツールを選ぶことが肝心です。

Emissary-ingressのセットアップ手順

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ここでは、Emissary-ingressを導入してAPIゲートウェイとして利用可能にするまでの流れを、手順に沿って説明します。

前提条件

導入に先立ち、次の項目を用意しておいてください:

  1. 動作するKubernetesプラットフォーム: Emissary-ingressはKubernetes環境での運用を想定しているため、Kubernetesクラスターが稼働している必要があります。ない場合はGoogle Kubernetes Engine (GKE) や Amazon Elastic Kubernetes Service (EKS)、Azure Kubernetes Service (AKS) などでクラスターを用意しましょう。
  2. Helmツール: HelmはKubernetes上のアプリを導入・管理するのに役立つパッケージマネージャです。Emissary-ingressを導入するには必須です。
  3. kubectlコマンド: kubectlコマンドラインツールが構成管理やEmissary-ingressのモニタリングに必要です。

ステップ1: Helmのインストールと確認

もしHelmがまだインストールされていないなら、公式Helmインストールガイドを参照してください。helm version を実行し、インストールが成功したことを確認します。

ステップ2: Emissary-ingressのHelmリポジトリ追加

Emissary-ingressのチャートは専用リポジトリにホストされています。以下のコマンドでそのリポジトリをHelmに登録します。

 
helm repo add emissary-ingress https://www.getambassador.io

ステップ3: Helmリポジトリの更新

リポジトリ追加後、Helmリポジトリを更新し、最新版のチャート情報を取得します:

 
helm repo update

ステップ4: Emissary-ingressのインストール

準備が整ったら以下のコマンドでEmissary-ingressを導入します:

 
helm install emissary-ingress emissary-ingress/emissary-ingress --devel

--devel フラグは正式リリース前のバージョンをインストールできます。本番環境では、このフラグを外すことを推奨します。

ステップ5: 導入確認

bash kubectl get servicesを実行し、emissary-ingressというサービスがあるかを確認してください。表示されればインストールは成功です。

ステップ6: Emissary-ingressのカスタマイズ

最後に、貴社のユースケースに合わせてEmissary-ingressを調整します。Kubernetes上でServiceやDeployment、Ingressを作成し、それぞれの設定を適用しましょう。必要な構成は運用環境に応じて変化します。

まとめると、Emissary-ingressを導入するためには、Helmのセットアップ、リポジトリの追加と更新、インストール、さらにユースケースに応じた最適化が必要です。Kubernetesの強みを活かし、強靱で拡張性とセキュリティに優れたAPI管理を行ううえで活躍します。

Kongの構築:手順を深掘り

Kongを使ったAPIゲートウェイの構築を成功させるには、その内部構造や要素、導入方法をしっかりと理解する必要があります。ここではKongがもつ特徴やインストールの流れ、設定面のポイントを詳しく見ていきます。

Kongの構造を分解

Kongの構造は大きく「Kong Gateway」と「Kong Manager」の2つのコンポーネントから成り立っています。Kong GatewayはAPIへのリクエストを処理するエンジンであり、Kong ManagerはAPIゲートウェイを管理する操作用ダッシュボードとしての機能を担います。

Nginxベースのオープンソースをもとに設計されたKong Gatewayは柔軟なアーキテクチャを持ち、プラグインによる機能拡張を前提としています。認証、トラフィック管理、分析など幅広い対象をカバーします。

一方Kong Managerは、分かりやすいUIでAPI空間やサービス、プラグイン、API利用者などを集中管理できます。

Kong API Gatewayのデプロイ手順

Kongを活用してアプリを構築するにはまず導入が必要です。KongはLinux、macOS、Windowsなど幅広いOSで動作します。以下はLinux環境を例とした手順です:

  1. Kongパッケージの取得: 公式サイトから貴社のOSとアーキテクチャに対応したパッケージをダウンロードします。
  2. パッケージのインストール: ダウンロードしたパッケージをシステムのパッケージマネージャなどでインストールします。
  3. Kongの設定: インストール後にデータベースの設定やAPIルート、サービスの定義などを行います。
  4. Kongの起動: 設定完了後にkong startコマンドでKongを起動します。

Kong API Gatewayのカスタマイズ

Kongを導入し終えたら、次はAPI空間、サービス、API利用者などの設定を行います。主な流れは以下の通りです:

  1. ルートの作成: KongにおいてルートはAPIリクエストの経路を示します。パスやメソッド、ホスト情報などを指定してルートを定義します。
  2. サービスの登録: ルートが最終的に指す先が「サービス」です。URLやプロトコル、ポートなどを登録します。
  3. コンシューマ(利用者)の登録: Kong上でAPIを呼び出す主体となるのがコンシューマです。ユーザー名やカスタムIDを登録できます。
  4. プラグインの設定: Kongの特徴であるプラグインで、認証やレートリミット、ログなど機能を広げます。プラグイン名と各種設定項目を指定します。

Kongの実装例

実際にKongを使った例として、気象データを配信するAPIを想定します。次の流れで進められます:

  1. サービスの作成: 気象情報APIのURLを指定してサービスをKongに登録します。
  2. ルートの作成: どのエンドポイント(パス)にリクエストが来たときにサービスへ転送するかを定義します。
  3. プラグインの設定: 例えばレートリミットプラグインを有効にして、API呼び出しの回数を制限できます。
  4. 動作確認: APIリクエストを送ってみて、設定どおりに気象データが返ってくるかを確認します。

まとめると、Kongでアプリを構築するには、Kongの構造や実装手順、カスタマイズ方法を理解し、最後に動作テストを行う必要があります。強力な機能と柔軟な拡張性をもつKongは、APIを効率的かつ大規模に管理するための頼もしい選択肢と言えます。

Emissary-ingress vs Kongの性能比較

APIゲートウェイの役割はソフトウェアのパフォーマンスを左右し得る重要な要素です。ここではEmissary-ingressとKongの性能を、レイテンシ、スループット、リソース使用量といった観点で比較します。

レイテンシの比較

レイテンシとは、APIコールが往復するのに要する時間です。レスポンスの速さが求められる多くのアプリでは特に重要です。

標準的な負荷状況では、Emissary-ingressとKongはいずれも優秀ですが、大量のトラフィック下ではKongのほうがレイテンシが低めであると評価する声があります。これはKongの軽量設計と効率的なリクエスト処理設計が大きく寄与しています。

スループットの観点

スループットは1秒あたりに処理できるリクエスト数(RPS)を指し、ゲートウェイの処理能力を測る重要指標です。

KongはEmissary-ingressよりも若干高いスループットを示すケースが多く、これは堅牢な構造と多数の同時接続を効率的に捌く設計によるものです。もちろんEmissary-ingressも十分なスループットを提供するため、多くのアプリケーションで不足はありません。

リソース使用量

APIゲートウェイがCPUやメモリなどのシステムリソースをどの程度消費するかは、特に規模の大きい環境ではコストに直結します。

この点では、Emissary-ingressがKongよりも軽量とされる傾向があります。限られたリソースしか割けない場合や、効率を重視する場合には有利です。Kongもリソース使用が大きすぎるわけではありませんが、どちらかというとEmissary-ingressが優位です。

Performance Indicator Emissary-ingress Kong
レイテンシ 高負荷時に上昇傾向 高負荷時でも低め
スループット 十分に高い さらに高い
リソース使用量 小さい やや大きい

負荷テストの結果

両者に対し、多数の同時接続をシミュレートする負荷テストを行った場合、Kongはレイテンシを低く抑え高いスループットを維持する結果を示しました。Emissary-ingressも十分なパフォーマンスを示しますが、同条件下でKongほどのレスポンスタイムを維持しにくいケースがあります。

まとめ

総合すると、Emissary-ingressもKongもどちらも高いパフォーマンスを発揮しますが、Kongは特に高負荷での低レイテンシと高スループットに優れています。そのため、アクセス数が非常に多い環境下でのアプリにとってはKongに軍配が上がることがあります。一方、リソース消費を抑えたい場合にはEmissary-ingressが選択肢となるでしょう。最終的には実際の要件や制約に合わせた判断が不可欠です。

Emissary-ingressの実運用事例

Emissary-ingressは複雑なルーティングをこなし、トラフィック制御を簡素化し、マイクロサービスを守る重要な仕組みとして、多方面の業界で採用されています。ここでは、実際のユースケースを通じ、その具体的な使われ方を見ていきます。

金融サービスでのEmissary-ingress

金融業界では、厳重な金融データを扱うAPIに対してEmissary-ingressがよく導入されています。例えば、大手銀行が口座管理、取引監視、不正検知など複数のマイクロサービス間でトラフィックを整理する際に活躍します。

複数サービスへリクエストを振り分けても、高負荷がかかる状況にあわせて自動的にリソースを調整可能で、Emissary-ingressのセキュリティ機能を活かし、外部からの不正アクセスに対しても堅固に守ることができます。

ECサイト業界

ECサイトでは、在庫管理や注文処理、顧客対応など、用途別に多種多様なAPIを扱うケースが一般的です。Emissary-ingressを導入することで、これらのAPIを整理してリクエストを正しいサービスへ誘導しながら、すべてのサービスが需要に合った拡張を継続的に行えます。

例えば、在庫管理、注文処理、顧客サポートなどのマイクロサービス間でEmissary-ingressを通してトラフィックを受け渡せば、負荷の均等化やそれぞれのサービスへの適正な振り分けを実現できます。

ヘルスケア分野

医療情報を扱うため、厳格なセキュリティとスケーラビリティが求められるヘルスケア分野でも、Emissary-ingressは患者データ管理や予約システム、会計業務などのマイクロサービスをまとめて扱うケースが多いです。

Emissary-ingressの高いセキュリティ機能で、患者情報への不正なアクセスを防ぎつつ、トラフィック制御により大量のリクエストが殺到する状況にも柔軟に対応できます。

通信業界

通信業界ではAPIが多岐にわたるため、Emissary-ingressを導入して複数のマイクロサービス間でリクエストをうまくさばき、拡張性を確保します。

例えば、ネットワーク運用管理や顧客対応、請求処理などにまたがるリクエストをEmissary-ingressで整理し、適切なマイクロサービスに流すことで効率と信頼性を大きく引き上げることができます。

このように、Emissary-ingressは幅広いユースケースで活躍しており、高度なルーティングとトラフィック制御、セキュリティ性能を備えた柔軟なAPIゲートウェイとして、多様な業界のニーズを満たしています。

Kong APIゲートウェイのユースケース

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Kong APIゲートウェイの実例

Kong APIゲートウェイは、多彩な企業や組織で導入されていることが強みのひとつです。以下の4つの現場事例は、Kongの運用効果や生産性向上への寄与を端的に示しています。

ケース1: マイクロサービスアーキテクチャ

マイクロサービス構成ではKongの導入が非常に一般的です。世界的なEC大手企業では、すべてのインバウンドリクエストをKongが一括して受け取り、適切なマイクロサービスへ振り分けるように設定しています。

数多くのマイクロサービスを運用するなかで、Kongのトラフィック制御機能が役立ち、特に多数のプラグインがレスポンス高速化に貢献しています。結果としてユーザー体験の向上が実現しました。

ケース2: IoTデバイスのAPI管理

KongはIoT領域でも実績があります。IoT機器を多数運用するある企業では、デバイスから送られる膨大なAPIリクエストをKongでさばく仕組みを構築しました。このアプローチにより、レイテンシが抑えられ、効率がアップしました。

また、Kongが提供する充実したセキュリティプラグインにより、機密データへのリスクを軽減できます。

ケース3: モバイルアプリのバックエンド

モバイルアプリ向けのAPI管理にKongを利用する事例も多いです。大規模なユーザーを持つモバイルアプリ開発会社がKongでAPIを一括管理し、高トラフィックにも対応しました。

その結果、レートリミットやキャッシュ機能を通じてサーバ負荷を大幅に削減し、アプリのパフォーマンスも向上しました。

ケース4: 金融サービスへの応用

金融セクターではKongを用いて決済処理やアカウント管理などのAPI制御を行う事例も多いです。あるフィンテック企業ではKongを導入し、高負荷な決済関連のサービスをスムーズに動かしています。

OAuth2.0プラグインや暗号化などの機能で大切な金融データを守りつつ、ユーザーにとっても安定した金融サービスが提供されるようになりました。

このようにKong APIゲートウェイは、マイクロサービス管理、IoTデバイス、モバイルアプリ、金融領域など幅広い分野で活用され、機能の豊富さと拡張性、高いセキュリティ性が企業規模を問わず高く評価されています。

Emissary-ingress vs Kong: セキュリティ機能の比較

APIゲートウェイの世界では、セキュリティが最優先課題の一つです。ここではEmissary-ingressとKongという主要なツールが揃えるセキュリティ機能を検証し、それぞれの強みと弱点をまとめます。

Emissary-ingressのセキュリティ手法

Envoy Proxyを土台にしているEmissary-ingressは、多彩な仕組みを備えてAPIやサービスを守ります。

  1. 認証とアクセスコントロール: Emissary-ingressはJWTやOAuth2、mTLSなど、多様な認証プロトコルに対応し、API利用者ごとに権限を柔軟に与えられます。
  2. データを守る仕組み: HTTPSやmTLSを自動的に利用し、データを転送中に暗号化します。
  3. リクエスト数の制御: リクエスト回数や頻度を制限することで、不正なアクセスやDDoS攻撃を防ぎます。
  4. ウェブ上の脅威対策: ModSecurityという有名なオープンソースWAFと組み合わせることで、一般的なウェブ由来の攻撃への防御力を大幅に高めます。
  5. アクセス履歴の記録: APIへのアクセス履歴を時系列で追跡できるため、監査やトラブルシュートに役立ちます。

Kongのセキュリティアプローチ

対してKongも幅広いセキュリティ機能を用意しています。

  1. 認証とアクセス制御: JWT、OAuth2、LDAPなど多面的な手段を提供し、ユーザー管理にも柔軟性があります。
  2. データ保護: KongはHTTPSとmTLSを利用でき、IP許可/拒否リストを活用して不正なAPIリクエストを排除します。
  3. トラフィック制限: リクエストのレートやクオータを設定し、クライアントやAPI単位で使い分け可能です。
  4. 不審なトラフィック検知: ボットなどによる不正アクセスを検出し、ブロックする機能が備わっています。
  5. ログ記録: すべてのAPI通信を体系的に保存し、詳細を解析できます。

比較表

Emissary-ingressとKongのセキュリティを比較すると、大枠ではどちらも多機能なセキュリティを確立していますが、若干の差異があります。

Feature Emissary-ingress Kong
認証とアクセス制御 あり あり
データ保護 あり あり
リクエスト制限 あり あり
ウェブ脅威対策 あり (ModSecurity連携) なし
不審トラフィック検知 なし あり
ログ記録 あり あり

Emissary-ingressにはModSecurityを用いたWAFが標準搭載されている点が強みですが、不正なボットなどを探知してブロックする機能はKongが優れています。

最終的には、どのような脅威への対策を重視するかで選択が分かれます。どちらも強力なセキュリティ基盤を構築できますが、自社の要件に合う方を検討すると良いでしょう。

Emissary-ingressとKongのスケーラビリティを比較

APIゲートウェイを選択する際、そのシステムがどこまで柔軟に拡張に対応できるかは非常に重要です。ここではEmissary-ingressとKong、それぞれの拡張性について見ていきます。

Emissary-ingressのスケーラビリティ

Emissary-ingressは性能と拡張性に定評のあるEnvoy Proxyを基盤にしており、多数のサービスをまとめて扱うときでも安定して機能します。

特に水平方向のスケーリングが容易に実現できる点も強みで、負荷が増えたらEmissary-ingressのインスタンスを追加するだけで高まるトラフィックに対応できます。この仕組みは短期間でリクエストが急増するようなケースでも大きな利点となります。

また、Emissary-ingressは設定変更を動的に反映できるため、長時間の停止を伴わない柔軟な拡張が可能です。ユーザー体験を損なわずにスケールアウトできる点はメリットです。

Kongのスケーラビリティ

KongはNGINXとOpenRestyを基盤としており、こちらも高負荷を捌ける設計になっています。横方向(スケールアウト)と縦方向(スケールアップ)の両方の拡張に対応している点が大きな特徴です。

横方向の拡張では、必要に応じて新たなKongノードを追加し、複数のデータセンターに分散配置することも容易です。また縦方向の拡張では、CPUやメモリを増強して既存のKongノードの性能を引き上げられます。

Kongも動的な設定変更に対応しており、ノードの追加やプラグインの更新などを停止を最小限に抑えて行えます。プラグインベースで機能を拡張できる柔軟さもあり、大規模アプリにも向いています。

Emissary-ingressとKongの拡張性の比較

Aspect Emissary-ingress Kong
水平スケーリング 可能 可能
垂直スケーリング 非対応 対応
動的設定 可能 可能
高可用性 あり あり
耐障害性 あり あり

見ての通り、Emissary-ingressとKongはいずれも大規模対応に強い一方、Kongの場合は垂直スケーリングにも対応しているので、より多様な規模やユースケースに柔軟に合わせられます。

まとめ

結局のところ、Emissary-ingressもKongもいずれもスケーラビリティに優れたAPIゲートウェイです。セットアップによっては大きな負荷にも柔軟に対応可能で、サービス停止を最小限に抑えつつ動的な構成変更を行えます。もし縦方向の拡張が求められるシナリオであれば、Kongがより適しているといえるでしょう。次のセクションでは、Emissary-ingressとKongの障害耐性について考察します。

Emissary-ingressとKongの障害耐性

APIゲートウェイとしてシステムの可用性を保つ上では、部分的な障害が起きても稼働し続けることが欠かせません。以下では、Emissary-ingressとKongがどのようにして障害に耐え、サービスを止めない仕組みを提供しているかを見ていきます。

Emissary-ingressの耐障害性

Emissary-ingressは分割されたアーキテクチャを採用しているため、ある一部が障害を起こしてもシステム全体は動き続ける設計です。具体的には、負荷分散(ロードバランサ)、ヘルスチェック、サーキットブレーカーなどが組み合わさって高い耐障害性を実現しています。

  1. ロードバランシング: Emissary-ingressはデフォルトでラウンドロビンを使い、全ノードでリクエストを均等に受けるようになっています。これにより特定ノードへの過負荷集中や障害の影響が限定されます。
  2. ヘルスチェック: 定期的に各ノードの動作状況を監視し、異常が見つかったノードを自動的に切り離します。
  3. サーキットブレーカー: 不成功や遅延が急増したときには回路を遮断し、一時的にトラフィックを遮ってシステム全体の負荷を抑えます。

Kongの高可用性対策

Kongも同様に高可用性を重視し、ロードバランシングやヘルスチェック、サーキットブレーカーを備えています。

  1. ロードバランシング: Kongでは一貫性ハッシュを活用したロードバランシングも可能で、ノードが落ちてもリクエストが自動的に他の元気なノードへ再振り分けされます。
  2. ヘルスチェック: ノードの調子を常時確認し、問題があるノードを切り離す仕組みを内蔵しています。
  3. サーキットブレーカー: こちらもKong独自の仕組みでリトライや一時的な隔離を行い、全体への悪影響を防ぎます。

Emissary-ingressとKongの耐障害性比較

Feature Emissary-ingress Kong
ロードバランシング ラウンドロビン 一貫性ハッシュ
ヘルスチェック あり あり
サーキットブレーカー あり あり

両者ともに耐障害性の面では優れた機能を備えています。Emissary-ingressはシンプルなラウンドロビン、Kongは一貫性ハッシュでロードバランシングを行うという違いはありますが、どちらも障害発生時のリトライや遮断をスムーズに実行します。

結論としては、Emissary-ingressとKongのどちらも可用性と回復力に優れ、特定部分の障害が全体へ波及しにくいデザインです。運用者の好みやシステム要件に応じて選ぶと良いでしょう。

Emissary-ingress利用者向けの最適化テクニック

Emissary-ingressをより効率よく使いこなすには、設定の工夫や監視体制の整備がカギになります。以下では、Emissary-ingressのパフォーマンスや信頼性、セキュリティを引き上げる最適化手法を整理します。

Emissary-ingressの設定を把握する

まず重要なのは、Emissary-ingressが採用している「宣言型設定モデル」を理解することです。理想的な状態をYAMLファイルで表現し、それにEmissary-ingressが追従する形なので、管理が分かりやすく拡張にも強いのが特徴です。

設定ファイルにはサービスやルート、プラグインなどを記述しますが、正しく最適化すればネットワーク通信全体をスムーズかつ安全に運用できます。

性能関連のパラメータチューニング

Emissary-ingressの動作を最適にするために、以下のパラメータを見直すとよいでしょう:

  1. 同時接続数: 高い負荷が予想されるなら、許容する同時接続数を増やすことでスループットを向上できますが、リソースとの兼ね合いも重要です。
  2. タイムアウト: 長時間のリクエストがサーバを専有しすぎないように、適切なタイムアウトを設定します。
  3. バッファサイズ: 大きなペイロードを扱う場合、バッファを大きめにしておくとスムーズです。

キャッシュの活用

Emissary-ingressはキャッシュ機能を備えており、バックエンドへの不要なリクエストを減らす効果があります。サービスごとにキャッシュ範囲を設定し、必要に応じてエントリの有効期限も調整できます。

プラグイン導入による性能強化

Emissary-ingressはさまざまなプラグインを提供しており、たとえばレートリミットプラグインでトラフィックを制御したり、圧縮プラグインでデータ転送量を削減したりすることで、全体のパフォーマンスを底上げできます。

ロードバランシングの選択

Emissary-ingressはラウンドロビンや最小接続数、IPハッシュといったいくつかのロードバランシング方式をサポートしています。ユースケースに合った方式を選ぶことでパフォーマンスを最適化できます。

ヘルスチェックとサーキットブレーカー

ライブネス/レディネスプローブや能動的・受動的ヘルスチェックを活用すると、障害の早期発見と切り離しが可能です。サーキットブレーカーにより、連鎖的な障害を防ぐこともできます。

監視とログ

Emissary-ingressの状態を継続的に監視し、ログを収集することも大切です。PrometheusやGrafanaFluentdLogstashなどを併用すれば、可視化と分析が容易になり、問題発生時のトラブルシュートもスピーディになります。

まとめると、Emissary-ingressの効果を最大化するためには、設定モデルの理解、パラメータチューニング、キャッシュやプラグインの活用、ロードバランシング手法の検討、ヘルスチェック&サーキットブレーカーによる障害対策、さらには監視とログ活用が欠かせません。これらを組み合わせることで、Emissary-ingressのパフォーマンスと信頼性、セキュリティを大きく高められます。

Kong APIゲートウェイを高速化するポイント

Kong APIゲートウェイは柔軟性に富んでいますが、更なる高速化を目指す場合に有効な戦略があります。これらを適用することで、ユーザー数が増えても安定したレスポンスを維持し、効率的なAPI接続を提供できます。

1. ロードバランシングを活用

ロードバランシングはAPIゲートウェイの性能向上に欠かせません。Kongでは高機能なロードバランシングが標準装備され、複数のバックエンドサービスへ均等にリクエストを振り分けることが容易です。適切な負荷分散により、高い可用性と障害耐性も同時に確保できます。

ロードバランシングの設定はupstreamtargetという要素で行います。upstreamはプロキシ先のホスト名を表し、そこに複数のtargetを紐づけることでロードバランシングを実現します。

 
# Upstreamの作成
curl -i -X POST \
  --url http://localhost:8001/upstreams/ \
  --data 'name=my-upstream'

# UpstreamへのTarget追加
curl -i -X POST \
  --url http://localhost:8001/upstreams/my-upstream/targets/ \
  --data 'target=example.com:80'
  --data 'weight=100'

2. レスポンスキャッシュの活用

Kongにはレスポンスキャッシュ機能が備わっており、バックエンドサービスへの負担を抑えられます。キャッシュ済みレスポンスを返せるため、特にレスポンスが重い場合に大きな効果があります。

この機能はproxy-cacheプラグインを使って有効化します。バックエンドから取得したレスポンスを指定時間メモリに保存し、繰り返し同じリクエストがあった場合に負荷軽減を図ります。

 
# proxy-cacheプラグインの有効化
curl -i -X POST \
  --url http://localhost:8001/plugins/ \
  --data 'name=proxy-cache'
  --data 'config.strategy=memory'
  --data 'config.cache_ttl=300'

3. トラフィック制御の実装

トラフィック制御を導入することでサーバの過負荷を防ぎ、APIゲートウェイを安定稼働させられます。Kongが備えているレートリミットプラグインを設定し、一定時間内に受け付けるリクエスト数を制限できます。

 
# レートリミットプラグイン適用
curl -i -X POST \
  --url http://localhost:8001/plugins/ \
  --data 'name=rate-limiting'
  --data 'config.second=5'

4. ヘルスチェック設定

Kongではバックエンドサービスのヘルスチェック機能をサポートしており、死活監視に失敗した場合は自動的に対象を除外できます。

設定はupstreamhealthchecksパラメータで有効化します。

 
# ヘルスチェックの有効化
curl -i -X PATCH \
  --url http://localhost:8001/upstreams/my-upstream \
  --data 'healthchecks.active.healthy.interval=30'
  --data 'healthchecks.active.unhealthy.interval=30'

以上の取り組みにより、Kong APIゲートウェイのパフォーマンスは大きく向上します。ユーザー数やリクエスト増加にも対応しやすく、システムを安定稼働させるコアとして活用できます。

Emissary-ingressを選ぶべきケース

Emissary-ingressとKongの機能を比べた場合、機能面の重複が多々ありますが、Emissary-ingressならではの強みを活かせる場面では、Emissary-ingressが有利となるでしょう。

高度なカスタマイズや細分化された制御が必要なとき

Emissary-ingressはEnvoy Proxyをベースに、高い柔軟性を備えています。トラフィック管理の細かいルールを組んだり入念なセキュリティポリシーを敷いたりと、複雑性の高いシナリオに適しています。

HTTPヘッダやCookie、JWT Claimsなどをきめ細かくチェックしてルーティングするなど、個別の要件が多い場合にはEmissary-ingressが力を発揮します。

 
apiVersion: emissary.io/v2
kind: Guide
metadata:
  name: site-service
spec:
  prefix: /site-service/
  service: site-service
  headers:
    x-special-header: customvalue

上記の例ではx-special-headercustomvalueのときだけsite-serviceへリクエストをルーティングするよう、ルールを細かく指定しています。

Kubernetesとの一体運用を重視するとき

Kubernetesを念頭に置いて設計されているEmissary-ingressは、Kubernetes関連のツールチェーンに自然に溶け込みます。

Kubernetes標準のマニフェストでAPIゲートウェイを管理したい場合は、Emissary-ingressの使い勝手が良いでしょう。

トラフィックコントロール機能が豊富

Emissary-ingressはカナリアリリースやブルーグリーンデプロイ、サーキットブレーカーなど、トラフィックを巧みに操る仕組みが充実しています。

たとえば新しいバージョンを段階的にリリースし、不具合がないか確認しながら少しずつトラフィックを切り替えることも簡単です。

 
apiVersion: emissary.io/v2
kind: Guide
metadata:
  name: site-service
spec:
  prefix: /site-service/
  service: site-service:2
  weight: 10

この設定によって、新バージョンのsite-serviceに全リクエストのうち約10%だけ流すようにできます。

開発者フレンドリーな設計

Emissary-ingressは情報が豊富で設定の理解やアドプションが比較的容易な点も見逃せません。ドキュメントが充実し、コミュニティも活発なため、開発者の生産性を重視する組織には好まれやすいです。

このように、Emissary-ingressはKongにも劣らない性能を持ちつつ、きめ細かい調整が必要な場面やKubernetesとの連携を重視する場合に特に威力を発揮します。

Kongが最適となるシーン

API管理の観点から、Kongを導入するメリットは多岐にわたります。ここでは、Kongが特に優位性を発揮する点に着目し、その理由を解説します。

豊富なプラグイン構造

Kongの大きな強みとして挙げられるのが、拡張可能なプラグイン機構です。API管理の機能を柔軟に組み合わせて、認証、アクセス制御、トラフィック制限、ログ収集などを自在に追加できます。ビジネスで求める要件にピッタリ合った機能だけを集中的に有効化できるため、効率的なAPI運用が実現します。

圧倒的なパフォーマンスとスケール性能

KongはNginxとLuaJITの高速環境を活用することで、大量トラフィックをさばきながらも気にならないレイテンシを保つ性能を持っています。さらに、横方向だけでなく縦方向へのスケールにも対応し、急な負荷変動にもしなやかに対応できます。

この優れたスケール特性によって、グローバル展開するような企業や、アクセス数が常に増大傾向にあるサービスでも安定性を確保できます。

万全のセキュリティ対策

認証方式や暗号化手法の多様性、アクセスリストの柔軟な制御、トラフィック制限など、KongはAPIを守る機能を数多く提供します。OAuth 2.0やJWT、ACLによる精密な制御に対応し、不正アクセスや潜在的なセキュリティリスクからAPIを守ることが可能です。

他サービスとの親和性

KongはHTTP、HTTPS、TCPUDPなど多様なプロトコルに対応し、ConsulDNSを使ったサービスディスカバリとも連携できます。複雑な環境下でも容易に統合しやすい設計です。

活発なオープンソースコミュニティ

Kongはオープンソースプロジェクトとして活発なコミュニティの支援を受けており、ドキュメント整備やプラグイン開発が盛んです。フォーラムなどで困りごとを相談したり、既存のプラグインを参考にしたりと、多くのリソースが利用できます。

まとめると、Kongは大小問わずあらゆる規模の企業が多種多様なAPI用件をカバーするのに適しており、プラグインシステムの自由度や圧倒的なパフォーマンス、セキュリティ、サービス連携の容易さが、大きな魅力です。

Emissary-ingressとKongを導入するときのベストプラクティス

APIゲートウェイであるEmissary-ingressやKongを導入する際、適切な手順に基づいて設定・運用することが大切です。本節では、構成方法、セキュリティ、パフォーマンス向上策、そして監視の観点を中心に、実際に参考となるベストプラクティスを説明します。

構成時のポイント

Emissary-ingressとKongいずれの場合も、設定を正しく行うことが動作安定の第一歩です。

Emissary-ingressのポイント:

  1. Namespaceの利用: KubernetesのNamespaceを活用することで、リソースの分離や管理性の向上が望めます。
  2. アノテーションの活用: Emissary-ingress独自の機能切り替えや調整はアノテーションで行い、細かな動作を制御できます。
  3. タイムアウト設定: 長時間かかる処理を適切に制限して、不要なリソース消費を防ぎます。

Kongのポイント:

  1. データベースを使う: KongはDBレスモードでも動きますが、データベースを利用するとより高度な機能を全部使えます。
  2. プラグインを使いこなす: Kongのプラグインで認証やレートリミット、ロギングなど必要な機能を有効化しましょう。
  3. 負荷分散の明確化: Kongは多様な負荷分散アルゴリズムを提供しているので、要件に合ったものを選びます。

セキュリティ対策

APIゲートウェイの核心は守りの強化にあります。Emissary-ingressやKongを利用するにあたり、以下の点を押さえておきましょう。

  1. HTTPS対応: すべてのAPI通信はHTTPSを基本とし、盗聴や改ざんを防ぎます。
  2. 認証・アクセス制御: ユーザー認証や権限付与の仕組みを活用し、必要最小限のアクセスのみ許す方針を徹底します。
  3. レートリミット: 過度な負荷や悪意あるリクエストを防ぐために、レート制限を設定しておくことが重要です。

パフォーマンス向上

APIゲートウェイの性能を最大限に引き出すには、リソース配分やキャッシュ機能などに着目しましょう。

  1. リソース管理: ゲートウェイに割り当てるCPUやメモリを十分に確保しつつ、無駄遣いにならないようバランスを見極めます。
  2. キャッシュ活用: Emissary-ingressもKongもキャッシュ機能があり、レスポンスを保存してサーバ負荷を下げられます。
  3. 圧縮の導入: APIレスポンスを圧縮することで転送量を減らし、通信を高速化します。

監視体制

システム全体の健康状態やボトルネックを把握するため、監視とログが不可欠です。

  1. ログ出力: Emissary-ingressとKongどちらもログを多彩な形式で出力できます。集中管理すれば問題の特定が容易です。
  2. メトリクス活用: ゲートウェイが提供するメトリクスを収集し、パフォーマンスデータを可視化すると、潜在的な問題を早期に発見できます。
  3. アラート設定: しきい値を超えた場合やサービス障害時に即座に通知を受け取れるようにしておくと、ダウンタイムを最小限に抑えられます。

以上のように、Emissary-ingressとKongを導入・運用する際は、構成やセキュリティ、スケーラビリティ、監視など複数の観点からのアプローチが求められます。

Emissary-ingress と Kongのトラブルシューティング

どんなシステムでもトラブルはつきものですが、APIゲートウェイのEmissary-ingressやKongも例外ではありません。それぞれ固有の問題が発生する可能性があり、状況に合わせて適切な対処を取ることが重要です。本節では、よくある課題と推奨される解決策を示します。

Emissary-ingressの主な課題と対処方法

1. 誤ったルーティング

Emissary-ingressでリクエストが予期せぬサービスに到達する場合は、Ingress Resourceの定義や設定が誤っている可能性があります。

対処: Ingressの設定ファイルを再度確認し、パスやホスト名が正しく指定されているか、ターゲットのサービスが存在・稼働しているかを確かめてください。

2. Emissary-ingressコントローラの突然のクラッシュ

メモリ不足などのリソース問題が原因で強制終了している場合があります。

対処: ログをチェックし、OOMキラーなどが発動していないかを確認しましょう。リソース割り当てを増やす、設定を調整して消費を抑えるなどの対策を取ってください。

3. SSL/TLSのエラー

証明書の設定ミスや期限切れの場合、HTTPS接続に問題が発生します。

対処: 証明書や秘密鍵の設定内容を再度確認し、期限が切れていないかチェックします。必要に応じて新しい証明書を用意しましょう。

Kongの主な課題と対処方法

1. Kongの起動失敗

設定ファイルの誤りやデータベースの接続不良が原因となる場合があります。

対処: Kongのエラーログを確認し、設定にタイプミスなどがないかや、データベースが正しく起動・接続できているかをチェックします。

2. プラグインの動作不具合

プラグインの設定が正しくない、あるいは他プラグインとの競合などによってエラーが起きることがあります。

対処: プラグインのドキュメントを読み直し、設定を見直しましょう。バージョンの非互換などがあれば解消策を探ります。

3. Kongのパフォーマンス低下

原因としては、リソース不足やネットワークの問題、データベースボトルネックなどが考えられます。

対処: サーバのCPU・メモリ・ネットワーク利用状況を監視し、問題個所を特定します。データベースであればクエリの最適化やスケールアウトを検討しましょう。

共通の推奨トラブルシュート

1. ログを最初に確認

トラブル発生時はまずログを確認するのが最適なアプローチです。原因を特定する情報が含まれていることが多いです。

2. 設定内容を熟知する

問題を正確に把握するには、ゲートウェイの設定ファイルと設計思想を理解しておくことが大切です。公式ドキュメントやコミュニティも活用しましょう。

3. システム監視を常に行う

負荷が高まる前に兆候を捉えられるよう、定期的なモニタリングを行うと事前にトラブルを防ぎやすくなります。

4. バージョンを最新に保つ

既知の不具合やセキュリティ問題が修正されている場合があるため、定期的にアップグレードを検討しましょう。

要するに、Emissary-ingressやKongのようなAPIゲートウェイでも問題が起きることは珍しくありませんが、適切なログ分析と設定の理解、リソース監視を組み合わせることで短時間で対処できる可能性が高まります。

結論:Emissary-ingressかKongか、目的に応じてチョイスする

API管理の世界において、Emissary-ingressとKongはいずれも信頼できる有力なオプションです。ただし、どちらを選ぶかは白黒はっきりした決定ではなく、プロジェクト固有の要件やAPI群の複雑さ、活用できるリソースに左右されます。

プロジェクト要件の把握

最初のステップとして、自社プロジェクトの性質を正確にとらえる必要があります。軽量で扱いやすいツールを求める場合、Kongは導入が比較的スムーズで小規模チームにも適しています。

一方で、大規模なAPI群を扱い高度なコントロールが必要な場合、Emissary-ingressが有利に働くケースが多いです。堅牢性や柔軟性、細部までの制御が可能という特色が、大規模組織や多くのリソースを使えるチームには魅力的でしょう。

機能面のざっくり比較

Component Emissary-ingress Kong
扱いやすさ 中程度 高い
柔軟性 高い 中程度
堅牢性 高い 中程度
スケーラビリティ 優秀 優秀
セキュリティ 優秀 優秀

リソース面から見た選択

組織のリソース状況によっても異なります。小規模チームや限られたリソースしかない場合は、Kongの容易さが光るでしょう。一方、大規模組織や潤沢なリソースがある場合は、Emissary-ingressの柔軟さや堅牢性を活かしやすいです。

総合的な視点

最終的に、Emissary-ingressかKongかを選ぶ際には、単純な優劣ではなく、貴社のAPI要件やプロジェクトの規模、チームのスキルなど多角的な要因を整理するのが不可欠です。Kongは扱いやすさや導入のしやすさを高評価される一方、Emissary-ingressは高度な拡張性や柔軟な設定を望む場合に支持されています。どちらもスケール力やセキュリティ機能は十分であり、API管理には十分に信頼を置けます。

最終決定に向けて

要するに、Emissary-ingressもKongも優れたAPIゲートウェイですが、選択は「プロジェクトの要件はなにか」「APIの規模や複雑さはどうか」「運用に割けるリソースはどれくらいあるか」を軸に考えるとよいでしょう。両者の特徴を把握したうえで、最適な選択を行えば、API群を効率よく守り、管理できるはずです。

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