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Vitess vs CockroachDB クラウドネイティブデータベース

クラウドネイティブデータベース入門

今日のデジタル化が進むコンピューティング環境では、クラウドベースのデータベースが画期的な技術として注目されています。従来のデータベースをクラウドに移植しただけのものとは異なり、最初からクラウド環境で最大の性能を発揮できるよう設計されたデータベースが登場しています。

データベースの変化の道のり

クラウドベースのデータベースの重要性を理解するには、データベースの歴史をふり返ることが大切です。コンピューティング初期において、データベースは巨大な仕組みであり、一台のマシン上でしか動作しないことが多くありました。しかし、データ量が爆発的に増えた現代では、こうした従来型のデータベースでは膨大で複雑なデータを扱いきれなくなっています。

インターネットの普及により、デジタルデータが急増すると、分散型のデータベースが生まれました。これはデータを複数のマシンやノードに分散させ、拡張性やパフォーマンスを向上させる仕組みです。とはいえ、変化するニーズに合わせて拡張・進化する面ではまだ制約が残っていました。

クラウド中心のデータベースの登場

そこで登場したのがクラウドを念頭に置いたデータベースです。クラウドの柔軟性、スケーラビリティ、高い耐障害性を十分に活用し、負荷に応じたスケール調整やコストメリットを実現します。

クラウド中心のデータベースの特徴

以下はクラウドをベースとしたデータベースに多く見られる主な特徴です。

  1. 弾力的なスケーラビリティ: ワークロードに応じて即時にリソースを増減させ、効率よく運用できます。
  2. 高い耐障害性: フォールトトレランスを考慮した設計が施されており、データの複製や復旧機能を標準で備えています。
  3. マルチテナンシー: 複数のユーザーやテナントをサポートしつつ、それぞれが独立した安全な環境を利用できます。
  4. 自動管理: プロビジョニングや拡張、バックアップなどを自動化し、管理上の負荷を軽減します。
  5. マイクロサービスアーキテクチャ: マイクロサービス構成を採用し、各機能の独立したデプロイやスケール拡張を可能にします。

クラウド中心のデータベースがもたらす影響

クラウドベースのデータベースがビジネスや技術に与える影響は非常に大きいです。企業は大量のデータを簡単に扱えるようになり、豊富な洞察を得てより的確な意思決定ができるようになります。また、即時性やインタラクティブなデータアクセスを求める先端アプリの開発も可能になります。

加えて、こうしたクラウドベースのデータベースはコンテナ化やオーケストレーション、継続的インテグレーション/継続的デリバリー(CI/CD)パイプラインなど、幅広いクラウド基盤と連携して使われることが多いです。DevOpsの考え方を取り入れ、イノベーションを加速させる道筋のひとつとなっています。

ここからは、代表的なクラウド指向データベースである Vitess とCockroachDBについて、それぞれの特徴や設計、スケーラビリティ、パフォーマンス、安全性などを詳しく見ていきます。

Vitessとは?

VitessはMySQLの特性に特化して設計され、YouTubeによってスケールや可用性の課題を解決するために生み出された画期的なソリューションです。オープンソースとして公開され、Cloud Native Computing Foundation (CNCF)の管理下で運営されています。大規模な運用が不可欠なさまざまな企業で採用され、MySQLに関する運用を容易にしつつ、拡張性とデータレプリケーションを強化し、アプリとデータベースの間をつなぐ存在として位置付けられています。

Vitessの誕生

YouTubeがMySQLのスケールの限界に直面し、その問題を解決するために開発されたのがVitessです。従来のシャーディング運用は複雑で誤りが起きやすかったため、YouTubeの巨大な運用規模を支えるために作られました。

Vitessを構成する主要コンポーネント

Vitessにはいくつものコンポーネントが組み合わさり、高度なデータベース基盤を提供しています。主要な要素は以下の通りです。

  1. VTGate: アプリからの問い合わせを受け取って、適切なシャードにルーティングします。
  2. VTTablet: 各MySQLインスタンスの管理役で、接続やトランザクション、クエリ実行を担当します。
  3. VTSctld: 管理用のサーバーで、Vitessクラスタを制御するためのWebインターフェイスやコマンドラインツールを提供します。
  4. VTCTLD: Vitessクラスタのコントロールセンターとして、Web UIやAPIを通じてクラスタ管理を行います。

Vitessにおけるシャーディング

Vitessの肝はシャーディングの仕組みです。データベースを複数のシャードに分割して管理できるようにし、大規模化を容易にします。範囲ベースやハッシュベースなど、さまざまなシャーディング方式をサポートしています。

 
# Vitessのシャードキー例
shard_key = hashlib.md5(user_identity).hexdigest()

上の例では、user_identity をハッシュ化してシャードキーを生成し、そのキーを使ってデータがどのシャードに格納されるかを決定しています。

Vitessとクラウド環境

Vitessはクラウド環境での利用を想定して設計されており、Google CloudやAWS、Azureなど多様なクラウドで動作します。特にKubernetesとの親和性が高く、自動フェイルオーバーや段階的アップデートなどを備えています。

まとめると、Vitessは大規模なMySQLデータベース運用に向いた強固な基盤を提供します。シャーディングを巧みに扱い、クラウド志向のアーキテクチャに対応できる点は、膨大なデータを抱える企業にとって魅力的な選択肢といえます。

Vitessの主な特徴

YouTubeで初期に開発され、その後コミュニティベースで進化してきたVitessは、高度で強力な機能を備えたデータベースクラスタフレームワークです。MySQLをクラウド時代にスケールさせるため作られただけあり、柔軟かつ安定性に優れる点が大きな特長です。

優れたスケーラビリティ

Vitessの最たる特長は横方向へのスケーリング能力です。必要に応じてデータベースクラスタにマシンを追加し、アクセスやデータ量の増加に対応できます。従来のデータベースがスケール面で苦戦する中、大きなアドバンテージといえます。

高度なシャーディング

Vitessがサポートするもう一つの強みがシャーディング機能です。データベースを「シャード」と呼ばれる小さな単位に分割し、複数のマシン間に分散させます。こうした仕組みにより、大規模データでも処理がスムーズになり、管理も簡単になります。

接続プーリングで効率化

Vitessには接続プーリングと呼ばれる機能があり、既存のデータベース接続を再利用することで新たに接続を開く負荷を抑えます。負荷の大きい環境下でも性能が向上する仕組みです。

クエリの最適化

Vitess自体がSQLクエリの最適化機能を持ち、煩雑なクエリを効率的に変換して実行します。その結果、データベースの負荷を抑え、応答を速めることができます。

マスター切り替え

障害が発生した場合でも、自動的に新しいマスターデータベースへ切り替えられます。いわゆるマスター・フェイルオーバーと呼ばれる機能で、システム全体の安定性を高めます。

マルチテナントのサポート

Vitessはマルチテナントにも対応しており、単一クラスタ内で複数のデータベースを運用できます。リソースの統合で運用を簡易化し、コスト面でも有利です。

強化されたセキュリティ

Vitessはデータ転送の暗号化(TLS)やアクセス制御(ACL)、詳細な監査ログなどを備え、安全性にも配慮しています。

Kubernetesとの連携

Vitessはコンテナ管理ツールの代表格であるKubernetesと密接に連携するよう設計されており、オーケストレーションやロードバランシング等の仕組みを有効活用できます。デプロイや運用管理が効率化される点が魅力です。

こうした一連の機能により、Vitessは柔軟性が高く、信頼性と安全性を重視する企業にとって有力な選択肢となっています。シャーディング、接続プーリング、クエリの最適化、マスター切り替え、マルチテナント、Kubernetes統合といった幅広い機能によって、従来のデータベースが苦手とする領域をカバーします。

CockroachDBとは?

CockroachDBはクラウド対応のオープンソースSQLデータベースで、障害に強い構造やデータの整合性、スケール拡張を目的として開発されました。それでいてSQLの柔軟な利用も行える点が特長です。

CockroachDBの基本理念

CockroachDBは「障害に強く適応する」ことを基本設計に据えています。ネットワークの分断やインフラの障害、さらにはデータセンター単位のトラブルが起きても、データベースが止まらないように配慮されています。複数のノード間にデータを重複して保持する仕組みにより、一部のノードやデータセンターに障害が発生してもデータベースを継続して利用できます。

CockroachDBの分散型アーキテクチャ

CockroachDBの大きな特徴は分散設計にあります。一般的なデータベースが単一サーバー中心なのに対し、CockroachDBは多数のノードにデータを分散格納することで安定性を高め、横方向の拡張も容易にします。データ増加への対応も新たなノードを追加するだけで済むため、スムーズに処理能力を高められます。

内部的にはデータを自動的に小さな単位(約64MBごとの「レンジ」)に分割・複製してノード間で管理することで、データの可用性と耐障害性を実現しています。

SQLとしての機能

分散型でありながら、CockroachDBは取引(トランザクション)やセカンダリインデックス、ジョインなど多彩なSQL機能を提供します。SQLの表現力を保持したまま、分散システムの拡張性と耐障害性を得られる点が大きな強みです。

CockroachDBの厳密な整合性

分散システムでデータ整合性を保つのは困難ですが、CockroachDBはRaftコンセンサスアルゴリズムを使い、更新順序の同期を保証します。各データレンジが複数のレプリカで管理され、更新内容が大多数に反映されるまで確定しない仕組みにより、データが同期された状態を維持します。

耐久性へのこだわり

障害からの復旧も自動化されており、ノードがダウンしたら別の存続ノードへリクエストが誘導され、新たなレプリカが自動生成されます。さらにはデータセンター全体が停止しても、別のロケーションにあるレプリカが稼働し続けるためデータベース全体は止まりません。

横方向スケーラビリティ

CockroachDBは分散アーキテクチャを活かしてシームレスに拡張可能です。データ量が増えたらノードを追加するだけで、負荷を分散しながら処理できます。面倒なシャーディングやデータ移行を意識しなくてよい点も利点です。

要するに、CockroachDBは障害に強く、クラウド向けに作られたSQLデータベースといえます。分散システムとしての高いスケーラビリティや信頼性を確保しつつ、SQLの利便性を維持している点が特徴です。

CockroachDBの主な特徴

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CockroachDBはクラウド向けに設計されたユニークなSQLデータベースです。堅牢かつ柔軟な作りで広範囲のネットワーク運用に耐え、性能を向上させます。高い可用性とデータの信頼性を備え、ビジネスに欠かせない存在となっています。

包括的なSQLデータベース

CockroachDBはSQLデータベースとして必要な機能をほぼすべて備え、しかも高いスケーラビリティと厳密な整合性を実現します。レプリケーションやロードバランシング、リカバリなども自動で行われ、メンテナンスの手間を大きく削減できるため、常時接続が求められる運用に好適です。

卓越したデータ可用性

CockroachDBが特に優れているのはデータの可用性です。独自のコンセンサスアルゴリズムにより、全サーバーで常にデータが同期されます。サーバー障害が起きてもデータ損失を避けつつ運用を続けられるため、ダウンタイムを最小化できます。

グローバルなデータ複製

CockroachDBは地理的に離れた拠点間でもデータを複製して同期できるのが強みです。ユーザーに近い場所でデータを扱えるようにすることで、応答速度を高め、各国のデータ規制にも対応しやすくなります。グローバル展開する企業にとって大きなアドバンテージです。

厳密なデータ整合性

CockroachDBはあらゆるデータ処理を即時に反映し、読取り時に最新データを提供する厳格な整合性モデルを採用しています。即時データが必要なアプリにとっては重要な要素です。

完全なACID準拠

Atomic(原子性), Consistent(整合性), Isolated(分離性), Durable(永続性)というACID特性を完全に満たし、どんな状況でも処理が中断・不整合にならないように設計されています。

自動レプリケーションと再配置

CockroachDBはデータを自動的にレプリケーションし、複数のサーバーに再配置します。これにより可用性が高まり、大規模なアプリでも管理負荷を抑えられます。

高度なセキュリティ

サーバー間やクライアント間の通信暗号化、細かなアクセス制御などの高度なセキュリティ機能が含まれています。これらは不正アクセスを防ぎ、プライバシーを守る上で効果的です。

オープンソースの強み

CockroachDBはオープンソースとして公開されているため、利用や改変が自由です。企業ごとに必要な機能をカスタマイズしやすく、柔軟性に優れています。

総じて、CockroachDBは包括的なSQL機能、優れた可用性、グローバル対応のデータ複製、厳格な整合性、フルACIDサポート、自動的なレプリケーション、高度なセキュリティなど、多彩な特長を併せ持ちます。堅牢で高性能なデータベースソリューションとして、多くの企業から選ばれています。

Vitess vs. CockroachDB 比較

Vitessの概要

VitessはYouTubeやMySQLのスケーラビリティを水平分散で拡張する目的から生まれました。最大の特徴はシャーディング機能で、大規模データを扱う際にも容易に扱えます。さらに単一インターフェイスで管理作業を集約し、下層のMySQLコンポーネントを直接扱わなくても済む点も魅力です。

Vitessのポイント:

  • スケールアップ: MySQLを多数のサーバーに分散し、大規模利用に対応できる。
  • データ分割: シャーディングによってデータを自動的に複数のMySQLインスタンスに分割、効率性と可用性を向上。
  • 接続プール: 接続をコントロールし、負荷を分散してデータベース処理を軽量化。
  • クエリ最適化: 非効率なSQLを最適に書き換えて実行する。

CockroachDBの特徴

一方のCockroachDBは、高度に分散されたSQLデータベースとして構築されています。堅牢なトランザクション処理とマルチノード構成を支える堅固なアーキテクチャが特徴です。

CockroachDBのポイント:

  • SQL互換: PostgreSQLに近いSQL構文への対応が充実し、SQLに慣れた開発者にとって使いやすい。
  • 整合性重視: 分散環境でも強い整合性を維持し、更新順序を守ってデータを扱う。
  • 高い耐久性: ディスクやマシン、ラック、データセンター単位の障害にも強く、ダウンタイムを極小化。
  • グローバルレプリケーション: 世界各地にまたがってデータを複製し、常時稼働を確保する。

両者の主な差異

VitessとCockroachDBはどちらも優れたデータベースですが、明確な違いがあります。

項目 Vitess CockroachDB
基盤データベース MySQL 独自ベース(PostgreSQL類似)
データ構造 リレーショナル リレーショナル
整合性モデル 最終的に整合 強い整合
対応SQL MySQLプロトコル、SQL PostgreSQLライクなSQL
レプリケーション 部分的同期 完全同期
シャーディング 自動 自動

大きな違いはベースとしているデータベースです。VitessはMySQL由来の特性を持ち、一方でCockroachDBはPostgreSQLに近い独自の構造を備えます。

整合性モデルでは、Vitessはやや緩めの整合性を採用し、最新データでない場合も許容する一方、CockroachDBはどのタイミングでも最新データを保証する強い整合性を柱としています。

SQL言語面では、VitessはMySQLプロトコルやSQLを使い、CockroachDBはPostgreSQLに近いSQLを使います。レプリケーション方式でも、CockroachDBが同期レプリケーションを採用しているのに対し、Vitessは部分同期をが採用されています。

いずれも大規模なデータベースを運用する手だてとして多彩な機能を備えますが、基盤や整合性の考え方、SQLとの相性などが違っており、どちらを選ぶかはアプリの要件次第といえます。

Vitessのアーキテクチャ概要

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VitessはMySQLを大規模に運用するためのクラウドネイティブソリューションです。MySQLの信頼性とNoSQL的な柔軟性を合わせ持つハイブリッドな構成をとり、複数のモジュールがうまく連携して高いパフォーマンスを実現します。

Vitessの主要コンポーネント

  1. VTGate: アプリ側からの入口に当たるコンポーネントで、ステートレスに動作し、スケールアウトして負荷を分散します。シャードへのルーティングや結果の集約を行います。
  2. VTTablet: 各MySQLインスタンスの前段に存在し、クエリの実行管理やトランザクション管理を担います。
  3. VTSctld: 管理UIを提供する中枢で、クラスタのトポロジやメタデータの保存を行います。
  4. TopoServer: トポロジ情報を保持するサーバーで、セルやキースペース、シャードの情報など、クラスタの構成を管理します。
  5. VReplication: シャードの再配分やバックアップ、ビューの設定などを担当する重要コンポーネントです。

Vitessの動作フロー

クライアントがVTGateにクエリを送ると、VTGateが解析してシャードを判別し、該当のVTTabletへ転送します。VTTabletは対象のMySQLインスタンスにアクセスして結果を取得し、クライアントに返します。

Vitessのシャード分割方法

Vitessではデータを複数のMySQLに分散して管理するため、keyspace IDという一意のIDをデータ行ごとに割り振り、その値にもとづいてデータを格納するシャードを決定します。水平シャーディングと垂直シャーディングの両方に対応しています。

リシャーディング

Vitessはシャード数を動的に変更するリシャーディングをサポートし、アプリを停止せずにデータを新しいシャード構成にコピーできます。その際、VReplicationがデータコピーを行い、最終的にシャードの数を増減させてもサービスが継続します。

Kubernetesとの統合

VitessはKubernetes環境で動くように最適化されています。Kubernetesのサービス検出やスケジューリング、オーケストレーションを丸ごと活用し、各コンポーネントをPodとして実行できます。

このように、Vitessのアーキテクチャは高い拡張性と耐障害性、運用のしやすさを目指して設計されています。MySQLとNoSQLの長所をうまく組み合わせ、クラウド環境でも効率よく動く堅牢なデータベース基盤を提供します。

CockroachDBのアーキテクチャ

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分散を前提としたCockroachDB

CockroachDBはクラウドに最適化された分散アーキテクチャを採用しています。大規模なアプリの需要に合わせ、高いスケーラビリティと信頼性、データ整合性を提供すべく構築されています。

完全分散のSQL実行

CockroachDBの中心には「完全分散のSQL」があります。これはデータを複数ノードに自由に配置し、いつでも稼働できるようにする仕組みです。PostgreSQL互換のプロトコルを採用し、既存アプリとの親和性を確保しています。トランザクション処理はマルチバージョン同時実行制御(MVCC)によって管理され、強い分離レベルを提供します。

ピアツーピア構造

CockroachDBのノードはすべて対等の地位を持ち、SQLリクエストやストレージなどを並行して担当します。単一ノードがダウンしても、クラスタが全体的に停止することはありません。Raftプロトコルを通じ、各ノード間でデータの合意形成を行い、一貫性を維持します。

Raftの仕組みにより、各ノードにはデータのレプリカが配置され、どのノードが障害を起こしても残りのノードで動作が続行できるようになっています。

データ分散とレプリケーション

CockroachDBはレンジ単位でデータを細かく分割し、それらをクラスタ全体に分散・レプリケーションします。一定量のデータごとにレンジを切り、複数のノードに複製を持たせることで可用性を高め、負荷を均等化します。

クラスタにノードを追加すれば、CockroachDBが自動的にデータを再配置して負荷を分散します。レプリカ数は耐障害レベルに合わせて設定できます。

トランザクションレイヤー

CockroachDBは2段階コミットを用いてACID特性を担保し、分散トランザクションを実現しています。すべての変更が「全て成功」か「全て取り消し」のいずれかになるよう保証し、高い整合性を保ちます。

ストレージレイヤー

不揮発領域でのデータ管理はRocksDBをベースとしたキー・バリュー形式で行われ、高速な読み書きと省メモリ性能が特徴です。これを活かしてCockroachDBは高パフォーマンスを実現しています。

こうしたSQLレイヤー、ピアツーピア構造、データ分散とレプリケーションの仕組み、トランザクション管理、ストレージ構成が相まって、CockroachDBは常に高い可用性と厳密なデータ整合性を提供する強固な分散データベースとして機能します。

Vitessのスケーラビリティ

データベース管理において重要な要素のひとつがスケーラビリティです。特にクラウドインフラと組み合わせる場合、負荷の増減に柔軟に対応できることが必須となります。Vitessは大きな注目を集めるほど、そのスケーラビリティに秀でています。

水平スケールの強み

Vitessは水平スケーラビリティを想定して設計されており、サーバーのスペックを上げる「垂直スケール」ではなく、サーバー台数を増やす「水平スケール」で負荷に対応できる点が特長です。クラウド環境との相性も良く、柔軟かつコスパの良い拡張を実現します。

具体的にはシャーディング技術を使い、データを複数のMySQLに負荷分散します。これにより大規模データ処理が可能となります。

シャーディングの重要性

Vitessが強みとするのは、シャーディング技術の高度な使いこなしです。ユーザーIDや注文IDなど特定のフィールドをキーにして分割することで、データを最適に振り分けられます。開発者側では単一のデータベースと対話するように見えるため、アプリからの実装もシンプルです。

リシャーディングで成長を妨げない

Vitessはリシャーディング機能により、稼働中でもシャード数を再調整できます。ユーザー数が急激に増えたときなども、よりシャードを増やして負荷を再配分し、サービスを止める必要がありません。

この機能により、トラフィックやデータ量が波状的に変動しても対応可能で、ダウンタイムを発生させずに拡張できるという大きなメリットがあります。

Vitessのスケール特性

たとえば、ユーザーが急増し、一つのシャードでは対応しきれなくなるケースを考えます。Vitessならこれに合わせてシャードを追加し、データを複数のシャードに分散するよう再構成できます。結果として読み書き負荷をうまく分散し、システム全体を止めることなく運用を継続できます。

このように、柔軟な水平スケールやシャーディング、リシャーディングが組み合わさることで、Vitessは大規模アプリや大量のクエリを扱うビジネスにふさわしい強力なソリューションとして機能します。

CockroachDBのスケーラビリティ

CockroachDBは、クラウド向けに作られたという点で横方向のスケーラビリティと高い耐障害性を両立する設計が特徴です。可用性と信頼性を重視する企業にとって、有力な選択肢となっています。

水平に無制限に拡張できる仕組み

従来のデータベースはスケールアップ(ハードウェアの性能を上げる)を重視するものが多かったのに対し、CockroachDBはノードを追加する水平スケールに特化しています。業務の需要拡大に合わせてノードを増やせばよく、高価なハードウェアの導入を必要としません。

クラスタ内のデータはノード全体に均等に分散されているため、一部のノードだけに負荷が偏ることなく、新しいノードを追加すると自動でデータ配分を調整して最適なパフォーマンスを維持します。

大規模なSQL処理

CockroachDBは複数ノードで同時にSQLを処理できる大規模なアーキテクチャを備えています。データやアクセスが増えても、トランザクション処理の速度や応答時間を低く抑えられるよう考慮されています。

さらにACID特性を満たしているため、ネットワーク分断やノード障害においてもデータの正確さを保つ点が際立ちます。

常時稼働へのこだわり

CockroachDBは、障害発生時でも動作を継続できる「アクティブノードの常時稼働」を重視しています。ノードやデータセンターがダウンしても、残りのノードで処理を維持できる仕組みです。データは複数のノードにレプリカとして存在し、いずれかが障害を起こしても他のレプリカがサービスを続行します。

Raftアルゴリズムによるレプリケーション管理で、すべてのデータ変更は過半数のレプリカへの書き込み承認が得られるまで確定されないため、データ整合性が常に保証されます。

下記の表にCockroachDBの利点をまとめています。

利点 詳細
無制限の水平スケール 必要に応じてノードを追加し、クラスタを拡張できる
大規模SQL処理 多くのノードで同時にリクエストを処理し、高トラフィックにも対応
常時稼働 ノードやデータセンター障害の際でもデータが複製されているためサービスを継続

こうした仕組みにより、CockroachDBは拡張性・可用性・整合性を高いレベルで両立し、企業の成長戦略に寄り添うデータベースとして活躍します。

Vitessの高トラフィック時のパフォーマンス

クラウドベースのデータベースとして、高トラフィック環境での安定動作は非常に重要です。MySQLの水平スケールを強化するために開発されたVitessは、大量のトラフィックにも耐えられる工夫が凝らされています。ここでは、Vitessの負荷対策やトラフィック制御にフォーカスし、そのメリットを見ていきます。

Vitessの高トラフィック対策

Vitessは、高負荷状態でのパフォーマンスを向上させるため、主に以下3つのメカニズムを組み合わせています。接続プーリング、クエリ最適化、シャード管理です。

  1. 接続プーリング: MySQLへの接続をプールで管理し、新規接続の作成に伴うオーバーヘッドを削減します。
  2. クエリ最適化: Vitess内部でSQLクエリを分析・変換し、MySQLへの負荷を低減します。
  3. シャード管理: 水平シャーディングによって複数サーバーにリクエストを振り分け、高トラフィックでも効率的に処理します。

主要なパフォーマンス指標

Vitessでは複数のパフォーマンス指標をモニタリングできます。クエリの遅延時間や1秒当たりの処理件数、接続数などを把握することで、システム全体の最適化につなげやすくなります。

高トラフィック時のVitessの利点

トラフィックが集中する状況で、Vitessには次のようなメリットがあります。

  1. スケーラビリティ: シャーディングにより、トラフィックが増えても複数サーバーで分散処理できる。
  2. 高い安定性: フェイルオーバー機能などにより、障害時でもシステムを止めずに運用可能。
  3. 効率的な処理: 接続プーリングやクエリ最適化が効率を維持し、大量の同時アクセスに耐えやすい。
  4. 詳細な監視: 豊富な指標をモニタリングでき、問題発生時の迅速な対処を支援。

こうした仕組みにより、Vitessは大規模トラフィック環境下でも安定して動作します。シャード管理や問い合わせの最適化で負荷を分散し、必要に応じて水平スケーリングを行うため、高トラフィックに堅実に対応できるデータベース基盤として人気を集めています。

CockroachDBの大規模トラフィック処理

クラウドフレンドリーなデータベースとして、CockroachDBは大きなトラフィックを裁くユニークな構造を持っています。以下、具体的にどのように大量データをさばくのかを紹介します。

マルチノードでのSQL実行

CockroachDBの強みは、SQLの処理を並列化できる点にあります。トランザクションを小さなタスクに分割し、複数ノードで同時に処理することで大量のリクエストに対応します。

この仕組みは内部の分散SQLエンジンで実現されており、高負荷な瞬間的アクセスでもスケーラブルに計算リソースを活かせます。

スケール戦略

CockroachDBのスケール戦略は「横方向への拡張」です。従来のデータベースのようにマシンをスケールアップする方式ではなく、新たなマシンをクラスタに追加する方式を取ります。

これにより、アクセスが急増しても追加ノードとの間で負荷を再分配し、パフォーマンスを維持できます。

スケール方式 従来型DB CockroachDB
垂直方向 可能 非対応
水平方向 非対応 対応

データ分散の徹底

CockroachDBはデータをクラスタ内のノードに分散して保存します。リクエストが届くと、該当データを持つノードへ転送し、処理を進めます。ノードの一部に障害が発生しても、他のノードが稼働していればサービスは継続します。

堅牢性

CockroachDBは高い耐障害性を備え、レプリケーションと自動復旧メカニズムにより、予期しない障害下でも動作継続が可能です。データは複数ノードに複製されているため、一部がダウンしても残りが処理を引き継ぎます。

このように、マルチノードの同時SQL実行や効率的なデータ分散、障害時でも止まらないレプリケーション機能が組み合わさり、CockroachDBは膨大なトランザクションや高トラフィックにも耐え得るデータベースとして機能します。

Vitessにおけるセキュリティ

Vitessはクラウド向けのデータベースとして開発されているため、セキュリティ面にも気を配っています。データを守る仕組みやアクセス制御、通信の安全性など、多層的な対策が取り入れられています。本セクションでは、Vitessの代表的なセキュリティ機能を挙げ、その仕組みを見ていきます。

データ保護

Vitessは、データの暗号化を静止時と通信時の両方で行うレイヤードなアプローチをとっています。

  1. 保存時の暗号化: ストレージに書き込まれるデータ自体を暗号化し、物理媒体の漏洩リスクを低減します。
  2. 通信時の暗号化: TLSを使い、コンポーネント間やクライアント─サーバー間の通信を安全に保ちます。

厳密なアクセス制御

Vitessでは、データベース管理者がアクセス権や操作権限を細かく設定できます。

  1. 認証方式の多様性: TLSクライアント証明書やパスワード認証、Kerberos連携など、複数の認証メソッドをサポートします。
  2. 権限設定: MySQLの権限管理システムをベースに、読み取りや書き込み、管理操作などを利用者ごとに細かく制限できます。
  3. 監査ログ: すべての操作を詳細に記録でき、不審な活動を検知・追跡しやすくなります。

gRPCによる安全な通信

Vitessは内部コンポーネント間の連携にgRPCを採用しています。gRPCはRPCフレームワークで、TLSによる暗号化通信を標準サポートしているため、安全なやり取りが可能です。

マルチテナント利用時の保護

Vitessは一つのクラスタで複数のテナントを扱うことができますが、シャーディングによりテナントごとにデータを分離し、権限を設定することで他テナントのデータを閲覧できないようになっています。

このように、Vitessは多層的なセキュリティを実装しており、データの暗号化、アクセス制御、通信の保護などを組み合わせて使うことで、安全性の高いクラウド環境を構築できます。

CockroachDBのセキュリティ概要

次世代のクラウド向けデータベースとして設計されたCockroachDBは、データ保護に関しても綿密な配慮がされています。データの信頼性や機密性、常時の利用可能性を確保するために、多様なセキュリティ機能が組み込まれています。ここでは、CockroachDBの特徴的なセキュリティ機能を掘り下げます。

ユーザー認証と権限管理

CockroachDBは、ユーザーが内部パスワードや証明書を用いてログインできるだけでなく、外部との連携も可能です。また、ロールベースの権限管理をサポートしており、ユーザーやロールごとに細かい権限を割り当てることで、不正アクセスや誤操作を防ぎます。

データの暗号化

CockroachDBは保存時と通信時の両方でデータを暗号化します。保存時には高度なAES方式を利用し、通信時にはTLSによる暗号化を実施します。これにより、データが漏えいしても解読されにくい仕組みを築いています。

操作ログ

CockroachDBはすべてのSQLクエリやデータ変更をログとして記録する機能を提供します。これらのログを活用することで、不審な操作の早期発見や、障害発生時の原因究明が可能です。

ノード間・クライアント間通信

CockroachDBでは、クラスター内のノード同士の通信やクライアントとノード間の通信をTLSで暗号化します。各ノード同士は証明書を用いて相互認証し、安全なチャネルを築きます。クライアント側も同様に通信の暗号化と認証を行い、外部からの盗聴や改ざんを防ぎます。

バックアップと復元

バックアップも暗号化された状態で取得・保存できるようになっており、AUTHORIZEDな利用者のみがそのバックアップを復元できる仕組みになっています。想定外のデータ損失が生じた際にも、許可されていないユーザーがバックアップファイルにアクセスするリスクを抑えられます。

証明書のライフサイクル管理

CockroachDBは証明書の期限切れによってセキュリティが低下しないよう、自動的に証明書のローテーションを行う仕組みを備えています。管理者が手動で更新することも可能で、運用ポリシーに応じて柔軟に対応できます。

このようにCockroachDBはユーザー認証や権限設定、データ暗号化、操作ログ管理、ネットワーク暗号化、バックアップ保護など、多彩なセキュリティ機能を統合し、クラウド向けデータベースとして高い安全性を確保しています。

データ整合性:VitessとCockroachDB

データベースにおける「データ整合性」とは、いつどのような条件下でもデータが正しく一貫していることを意味します。VitessとCockroachDBはともにクラウドネイティブなデータベースとして注目されていますが、それぞれデータ整合性を保つ方法に違いがあります。

Vitessの整合性アプローチ

VitessはMySQLをクラスタ化するためのシステムであり、複数シャードにまたがるトランザクションには2段階コミットプロトコルを採用しています。これによってアトミック性や一貫性を保持します。さらに、半同期レプリケーションを用いて、少なくとも1つのレプリカにデータが書き込まれるまでコミットを待つため、プライマリ障害時のデータ損失リスクを低減しています。

また、レプリカラグを管理して、遅れているレプリカにはクエリを送らないよう制御することで、古いデータを返さないようにも配慮しています。

Vitessのデータ整合性要点:

  • 2段階コミットプロトコルの採用
  • 半同期レプリケーション
  • レプリカラグの管理

CockroachDBの整合性アプローチ

一方、CockroachDBでは分散トランザクションを強く意識し、Raftコンセンサスアルゴリズムによってトランザクションを制御します。ACID特性をしっかり守りつつ、ネットワーク分断やノード障害などの状況でも整合性を崩しにくい設計になっています。

さらにマルチバージョン同時実行制御(MVCC)を組み合わせ、各トランザクションが独立したデータスナップショットを扱うことでトランザクション同士の干渉を防ぎ、一貫性を確保しつつ高い並行処理性能を引き出します。

CockroachDBのデータ整合性要点:

  • 分散トランザクション向け独自プロトコル
  • Raftコンセンサスによる整合性保持
  • ACID+MVCCモデル

整合性の比較

両者ともデータ整合性を重視しますが、仕組みは異なっています。MySQL中心のワークロードに最適化されたVitessはクラシックな手法(2段階コミットや半同期)を延長しつつ、レプリカラグを管理するスタイルを取ります。

対するCockroachDBは分散トランザクションを前提にRaftコンセンサスを組み込み、ノード障害やネットワーク断が起きても強い整合性を保てるように設計されています。どちらを選ぶかは、アプリで求める整合性レベルや分散度合いによって異なります。

可用性:VitessとCockroachDBの比較

クラウドネイティブなデータベースでは、どれだけ長時間サービスを継続できるか(可用性)が極めて重要な指標です。VitessとCockroachDBはともに高い可用性を目指していますが、アプローチは異なります。

Vitessの可用性戦略

Vitessはシャーディングによりデータを複数台のサーバーに分散します。これにより、一部サーバーがダウンしてもシステム全体は稼働し続けます。

加えて、Vitessはデータレプリケーションを活用し、複数のサーバーにデータをコピーしています。障害が起きたサーバーから別のサーバーへ切り替えることでサービスダウンを防ぎます。

さらにプライマリ─セカンダリ構成を採用し、書き込みを担当するプライマリが障害で停止した場合でも、セカンダリが素早く昇格して継続運用を可能にします。

CockroachDBの可用性戦略

CockroachDBは、データを複数ノードに分散・レプリケーションすることで可用性を高め、Raftコンセンサスアルゴリズムで常にノード間の合意を得ています。これにより、一部ノードに障害があっても残りのノードが正常であればサービスを継続できます。

CockroachDBの特徴は、一貫性を重視しつつも高可用性を実現している点です。ノード障害時には他のノードが保持するデータによって運用が継続され、Raftによりデータの不整合が起きにくくなっています。

比較表

項目 Vitess CockroachDB
シャーディング あり なし
データレプリケーション 実装済 実装済
プライマリ─セカンダリ構成 あり なし
分散SQL なし あり
Raftコンセンサス なし あり

まとめると、Vitessはシャーディングやプライマリ─セカンダリ構成で可用性を高め、CockroachDBは分散SQLやRaftアルゴリズムによって整合性と可用性を同時に満たす戦略を取っています。自社の要件に合わせて選ぶのが望ましいでしょう。

Vitessにおけるデータ移行

現代のビジネスではデータ移行のスムーズさが重要です。Vitessでは、このデータ移行を効率良く進められる機能が用意されています。

Vitessが得意とするデータ移行

Vitessは内部に「vtctl」という強力なツールを備えており、MigrateServedTypes などのコマンドを使うことで、あるデータ領域から別の領域へタブレットの役割をスムーズに切り替えられます。

また、移行中にスキーマ変更を行っても、DBを止めずに適用できるため、ダウンタイムを大幅に減らせます。

移行ステップ

Vitessによるデータ移行は、主に以下の手順で進められます。

  1. 準備: 移行元・移行先のデータ領域設定やシャードの用意をします。
  2. スキーマ変更: vtctl ApplySchema コマンドで必要なスキーマ変更をオンラインで適用します。
  3. データコピー: vtctl CopySchemaShard を使い、移行先へ既存データを複製します。
  4. タブレット移管: vtctl MigrateServedTypes コマンドで、対象のタブレットを新しい領域へ切り替えます。
  5. 検証: 最後に移行先で動作を確認し、問題がなければ完了です。

Vitessを使うメリット

データ移行において、Vitessが選ばれる理由は以下の通りです。

  • ダウンタイムの最小化: オンラインでスキーマ変更を行う仕組みにより、システムを止める必要が少ない。
  • 簡潔な手順: vtctl がコマンドラインからの操作を一元化してくれる。
  • きめ細かな制御: タブレット単位で移行先を指定でき、運用状況に合わせた柔軟な移行が可能。
  • 堅牢なプロセス: 各ステップで検証が行われ、確実性が高い。

このようにVitessは、移行プロセスでの負荷軽減やダウンタイム削減に貢献し、スケーラブルなデータベース環境をスムーズに構築できます。

CockroachDBのデータ移行機能

CockroachDBはデータベースの移行を円滑に進めるためのさまざまな仕組みを備え、データ変換の課題に対応しています。ここでは、CockroachDBならではの移行機能を見ていきましょう。

スムーズなデータインポート

CockroachDBはCSV、Avro、Parquetなど幅広いフォーマットからのデータ入力に対応します。IMPORTステートメントを使えば大量のデータを一括取り込みでき、変換コストを削減できます。

 
IMPORT TABLE my_table (
    id INT PRIMARY KEY,
    name STRING,
    age INT
) CSV DATA ('gs://mybucket/mydata.csv');

上の例では、Google Cloud StorageにあるCSVファイルのデータをmy_tableに取り込む手段を示しています。

オンタイムでのスキーマ変更

CockroachDBは稼働中でもDBのスキーマを変更できる機能を備え、インデックス追加やカラム追加などをサービス停止なしで行えます。

分散バックアップ

CockroachDBにはデータを一括バックアップする機能があり、Amazon S3やGoogle Cloud Storage、Azure Blob Storageといったクラウドストレージに保存可能です。万が一の時にも速やかにリストアできます。

地理的パーティショニング

CockroachDBのジオパーティショニング機能を使えば、データを特定のリージョンに配置したり、ユーザーに近い場所へ置いたりできます。これによってレイテンシを抑え、海外拠点間でも効率的にデータを扱えます。

データ冗長化

複数サーバーに自動でデータをレプリケーションするため、一部サーバー障害があってもデータを失わずに済みます。

PostgreSQLとの互換性

CockroachDBはPostgreSQLと互換性があるため、既存のPostgreSQL向けクライアントやORMライブラリを流用できます。この点はPostgreSQLからの移行を簡単にします。

まとめると、CockroachDBは大容量データの取り込みやオンラインスキーマ変更、分散バックアップ、地理的配置、レプリケーション、PostgreSQL互換性など、移行と運用の両面で便利な機能を揃えています。

VitessとCockroachDBの今後

クラウド基盤の進化とともに、VitessとCockroachDBも絶えず変化し続けています。将来に向けたアップデートの方向性から、それぞれの狙いを探ってみましょう。

Vitessの最新動向

YouTubeの巨大MySQL管理からスタートしたVitessは、Slack、JD.com、GitHubなど世界中の企業で導入されています。現在はCloud Native Computing Foundation(CNCF)管理下で開発が進んでおり、定期的な更新とサポートが行われています。

近い将来、さらにスケーラビリティとパフォーマンスを高める改良が進む見通しです。ユーザー体験を簡易化する取り組みも意識されており、企業規模を問わず導入しやすい環境を整える方向です。

具体的な計画としては、高度なシャーディング手法の導入が挙げられます。現在でも範囲ベースやハッシュベースなどを選択可能ですが、より細分化されたシャード分割が行える機能を開発中です。また、複数シャードを跨ぐトランザクション性能の向上にも力が注がれています。

CockroachDBの開発展望

CockroachDBは、依然として高可用性と厳密な整合性を両立する分散SQLデータベースとして進化を続けています。ディスク、マシン、ラック、データセンター障害に耐えられる設計は変わりませんが、今後はトランザクション効率やクエリ実行速度をさらに高める方向に注力しています。

特に注目されるのはジオパーティショニングの拡充です。データを地理的に必要な場所へ配置しやすくすることで、世界規模のアプリでも高いパフォーマンスを発揮できるようにする狙いがあります。

また、全ノードが読み書きを扱うマルチアクティブ可用性の強化もロードマップに含まれており、ノード障害があっても全体が停滞しない仕組みをさらに洗練していく方針です。

将来機能の比較

機能 Vitess CockroachDB
高度なシャーディング 予定あり なし
シャード間トランザクション 対応拡充 なし
ジオパーティショニング なし 対応拡充
マルチアクティブ可用性 なし 予定あり
性能向上 予定あり 予定あり

まとめると、Vitessはシャーディングの高度化やシャード間トランザクションへの対応を強化し、CockroachDBはジオパーティショニングやマルチアクティブ化でグローバル運用をさらに安定・高速化しようとしています。いずれも性能向上を目指しており、今後もクラウドネイティブデータベースの主要な選択肢として期待が高まります。

結論:VitessかCockroachDBか

クラウド時代のデータベースとして、VitessとCockroachDBはいずれも注目すべき存在です。最終的な選択は、プロジェクトの特徴や要件に左右されます。

総合的な視点

両ソリューションのモジュール構成や性能、可用性、セキュリティなどを比べると、それぞれが強みを持つ分野が見えてきます。

スケーラビリティ

いずれも大規模に対応できますが、Vitessは主にシャーディングでデータを捌き、CockroachDBは全面的に分散構造を作り上げています。

高トラフィック対応

Vitessはクエリ最適化とMySQL由来の技術を生かして読み込み処理に強く、CockroachDBは高度なトランザクション構造とMVCCで書き込み負荷にも対応しやすいです。

データ保護

VitessはMySQLの認証・権限制御をベースにしつつ多層的な保護措置を採用。CockroachDBは暗号化を含めた統合的なセキュリティ設計とロールベース管理などが特長です。

整合性と可用性

CockroachDBはRaftアルゴリズムで高い整合性を維持し、VitessはMySQLのレプリケーション構造を活かして高い可用性を実現します。

データ移行

Vitessはシャード単位の移行をスムーズに行い、CockroachDBは柔軟なスキーマ変更やデータ配置機能で移行を簡易化しています。

総括

結果的に、読み取り負荷が中心で簡潔なセキュリティ設計を好むならVitess、複雑な書き込み処理や強力な整合性・可用性を求めるならCockroachDBが有力になるでしょう。しかしながら、それぞれの豊富な機能を単に羅列するだけでは、必ずしも自社プロジェクトに合うとは限りません。

プロジェクト規模や要件を総合的に検討しつつ、最適解を選ぶことが大切です。急激に進化するクラウドネイティブの世界において、VitessとCockroachDBはいずれも頼もしい存在として成長を続けています。

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