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API Security

多要素認証(MFA)とは?

APIやシステムセキュリティに関わる専門家であれば、多要素認証はおなじみの用語でしょう。結局、これはシステムセキュリティの核となる技術です。様々な場面で利用され、オンライン上の脆弱性から守る有力な手段となっています。 

本記事では、本技術の詳細に触れ、なぜ導入が賢明な選択となるのかを解説します。

多要素認証(MFA)とは?

多要素認証(MFA)とは?

一般に多要素認証とは、複数の認証方法を組み合わせ、ソフトウェアや製品の利用、または取引前に利用者の身元を確認する高性能なセキュリティ技術とされています。  

主にパスワード、セキュリティトークン、生体認証が組み合わせて用いられ、製品や取引を守る多層防御システムを実現します。こうした強固な仕組みにより、不正アクセスやセキュリティ侵害、情報窃盗、オンライン詐欺のリスクが低減されます。

多要素認証は、コンピュータ機器、データベース、ネットワーク、アプリなどを守るために広く利用されています。

Multi-factor Authentication

なぜ多要素認証が重要なのか?

MFAの基本が理解できたところで、その重要性について説明いたします。近年、ハッカーの手口は巧妙になり、強固なパスワードさえも突破されることがあります。複雑なパスワードだけで機器やネットワークを守れると考えるのは大きな誤解です。 

様々な組織が、情報窃盗、フィッシング、ブルートフォース攻撃、パスワード窃盗、その他多様なオンライン詐欺の被害に遭っています。最新の調査では、こうしたセキュリティ攻撃により2025年末までに10.5兆ドルの損失が発生すると見込まれています。

多要素認証は、複数のセキュリティ層を追加することでハッカーにとって解読が難しい仕組みを提供し、その結果、セキュリティ上のリスクが減少します。

 

多要素認証はいつ導入すべきか?

率直に申し上げれば、重要な情報、機器、アプリ、データベース、その他のデジタル資産を守りたいときは、いつでも多要素認証を活用すべきです。多くの方は、メール、金融口座、健康記録のアクセス時に利用しています。

組織においては、データベース、機器、ネットワークへのアクセス時に利用者の身元確認として導入されます。

仕組み

多要素認証は、利用者の身元を確認するために段階的な手続きを採用しています。この手法では、順次追加の認証情報が求められ、各カテゴリごとに異なる要素が用いられます。

中でも最も一般的な確認方法のひとつはOTP、すなわちワンタイムパスワードです。OTPは通常4~8桁のコードで、SMS、メール、または電話で利用者に送信され、シード値に基づいて毎回新たに生成されます。  

多要素認証の種類

利用者に求める情報により、MFAは大きく3つのカテゴリーに分けられます。以下、それぞれについて詳しく説明します。

知識要素

知識要素は、利用者が設定されたセキュリティ質問に回答する方法です。代表的な手段として、パスワード、PIN、OTPが利用され、例えば:

 複数の店舗で決済する際、デビットやクレジットカード利用時にPINの入力が必要となる場合。

  • 特定のシステムにアクセスする際、ペット名や以前の住所などの情報の入力が求められる場合。  
  • 認証済みデジタル証明書を備えたVPNクライアントを利用し、ネットワーク接続のたびに接続する場合。

所持要素 

所持要素は、利用者が持つアイテムの情報を用いてネットワークや機器へのアクセスを認証します。一般的には、バッジ、トークン、SIMカード、キーフォブなどが利用されます。   

継承要素 

最後に、継承要素は利用者の生体的特徴を用いてログイン時の確認を行います。各個人固有の生体情報を利用するため、改ざんや操作の可能性は非常に低いとされています。 

継承要素で一般的に用いられる情報には、網膜、虹彩、指紋のスキャン、音声認証、手や耳たぶの形状の確認、顔認証、デジタル署名などがあります。  

この手法では、デバイスやアプリが生体情報をスキャンし、保存されたデータと照合します。その結果、一致すれば認証成功、不一致の場合は認証されません。

types of multifactor authentication

多要素認証の事例

多要素認証は広く利用されており、全利用者に適用する場合もあれば、一部のグループに限定して採用する場合もあります。実際の事例を以下に示します:

  1. ネットバンキングにログインする際、ユーザ名とパスワードに加え、OTPの入力が求められます。これが多要素認証の例です。 
  2. 企業では、従業員がデータベースにアクセスする前に、網膜スキャンや指紋スキャンを実施しています。 
  3. Open Banking Limitedは、英国に拠点を置く非営利団体として、信頼フレームワーク、識別情報、動的クライアント登録を用いて取引を開始しています。 
  4. Etsyは、信頼性の低いトークンの代替として、利用者のスマートフォンを用いた多層セキュリティ対策を導入しています。 


多要素認証のメリットとデメリット

多要素認証は、組織のデジタル資産へ安全にアクセスできるという安心感をもたらします。

この技術を導入することで得られる主な利点は以下の通りです:

  • ハードウェア、アプリ、データベース、ネットワークを同様に守ることが可能です。  
  • 即時生成されるOTPはハッカーには解読が困難です。
  • パスワードと併用することで、ハッキングや情報侵害の発生率が99%削減されると言われています。
  • 高度な技術を必要としません。
  • 必要に応じてセキュリティ技術を変更可能です。
  • 情報窃盗による損失など余計な費用を抑え、より良い投資効果が期待できます。
  • EC、金融、銀行などの分野では、多要素認証の導入により顧客の信頼が高まり、安心して取引を進められるため、売上や顧客維持に好影響を与えます。

多要素認証は非常に有効な対策ですが、いくつかの課題も存在します。例えば:

  • 導入にはスマートフォンが必須となります。 
  • ハードウェアトークンを使用する場合、紛失のリスクが高く、常に注意が必要です。 
  • スマートフォンが紛失または故障すると、MFAに関する情報も失われる可能性があります。 
  • 生体データは誤判定を起こす可能性があります。 
  • ネットワーク接続に依存するため、インターネットが利用できない場合は認証が失敗する恐れがあります。 
  • 常に更新が必要です。 


二要素認証と多要素認証の違い

二要素認証と多要素認証は、同じ硬貨の両面のようなものですが、少し異なります。

違いは基本的で、二要素認証は利用者の身元確認に2つの要素のみを用いるのに対し、多要素認証は2つ以上の要素を使用してアクセスを認証します。 

Two Factor Authentication vs Multi Factor Authentication

APIセキュリティにおける多要素認証の役割

多要素認証は様々な分野で利用されており、APIセキュリティもその一例です。APIに多要素認証を追加することで、セキュリティが強化され、コードが守られます。 

早期に多要素認証を導入することは、APIを不正アクセスから守り、コードへのバグ混入を防ぐうえで賢明な判断です。これにより、開発者が実用的で機能的なAPIを作成しやすくなります。 

RESTful APIやその他のAPIを利用する際、多要素認証の追加は欠かせない対策です。以下はAPIセキュリティに多要素認証を組み入れる方法の例です:

  • OAUTH 2.0などのアクセストークンをAPIに追加する 
  • アクセキーを生成する 
  • ファクターAPIを利用する 
  • シングルサインオンまたはモバイルサインインのログインプロセスを利用する 

さらに、一部のAPIは既に多要素認証を備えており、手間をかけずに高いセキュリティを実現しています。 

mfa

まとめ 

多要素認証は、ITエコシステムを堅牢にし、重要な情報への不正アクセスから守るための複数ある手段のひとつです。ひと手間加えるだけで、より安心感が得られます。 

導入方法は多岐にわたります。適した方法を選択することで、コンピュータ機器、データベース、ネットワークを侵入者から守ることができます。 

API向けの導入をまだ検討していない場合は、今すぐの実施をお勧めします。これにより、セキュアで実用的なAPIやアプリが実現され、バグの少ないパフォーマンスと効率的なサービス提供が期待できます。

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更新日:
February 25, 2025
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